東日本大震災復興計画情報ポータルサイト(特設サイト)

津波避難ビル 沿岸沿い自治体に指定の動き広がる 国の支援制度構築急げ...

■題 名 津波避難ビル 沿岸沿い自治体に指定の動き広がる 国の支援制度構築急げ
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(建設工業)
■概要 大津波の被害が出た東日本大震災で、あらためて重要性が認識された津波避難ビル。今回の震災と同様の大津波が予想される東海・東南海・南海地震の発生懸念が高まる中、国も各地の避難ビルの安全性の再検証に乗りだした。

 内閣府の調査によると、10年3月時点で市町村が指定している津波避難ビルは全国で1790棟。この半数以上は東海・東南海・南海地震が発生した場合に津波に襲われる可能性が高い東海と四国が占める。
 東北で指定ビルが少ないことについて、内閣府の防災狙当者は「東北沿岸部は急傾斜地が多く、建物を建てられる場所も少ない」「急傾斜地のため、すぐに高台に逃げられる場合が多い」などの理由を挙げる。
 だが、平野部が大半を占める仙台市以南の宮城県内の5市町では、少なくとも約9700人が市町指定の津波避難ビルに逃げ込み、被害を免れたとみられている。岩手県の死者・行方不明者数約7400人、宮城県の死者数約9100人を上回る人が助かった計算となり、あらためて避難ビルの重要性が浮き彫りになった。
 
 内開府が05年に策定した「津波避難ビルに関するガイドライン」が示している避難ビルの要件は、新耐震設計基準(81年施行)に適合したRC又はSRC造で、津波発生時の想定浸水深の3倍の高さを備え、津波の進行方向の奥行きが長い建物。
 静岡県以西の沿岸自治体では、避難ビルの大量確保や指定に向けた調査に動き始めている。静岡県富士市は津波被害が想定される各町内会に候補ビルの調査を要請。名古屋市は6月に津波避難ビルの指定制度を導入すると発表した。大阪市は避難想定人数を試算し、5月に市関連施設で393ヵ所の避難ビルを今秋までに確保すると発表した。高知市は小中学校合わせて13校を避難ビルに指定した。
 しかし、普及には課題も少なくない。ガイドラインの策定当初は、自治体が進める避難ビルの建設を後押しするため、内閣府や総務省、農林水産省などが助成措置を設けていたが、現在はなくなり、国土交通省の社会資本整備総合交付金の交付条件の一つに避難ビルが盛り込まれているだけだ。
 指定ビルの半数を占める民間のビルについても、避難ビルの要件を満たすのに必要となる費用の割増分を支援する制度はない。「どこにピルがあるのかを住民に伝える誘導標識の設置などの整備も急務」(内閣府防災担当)と指摘する声もある。

 もう一つの大きな問題が指定基準の見直しだ。東日本大震災を受けて政府の中央防災会議の専門調査会が6月末にまとめた中間報告では、最大級の津波を想定し、住民の避難を柱とした総合的対策を推進する方向が打ち出された。対策には津波避難ビルも含まれる。
 仮に10メートルの津波を想定すれば、高さ30メートルの建物が避離ビルの指定対象となるが、小さな漁村にこれだけの規模のビルを配置するのは難しい。国交省は被災県を除く沿岸エリアにある市町村の避難ビルの構造的要件の再検証を東京大学に委託して進めている。国のガイドラインはあるが、最終的な避難ビルの指定は自治体の裁量に委ねられているため、個々の指定ビルの適性を再評価するのが狙いだ。東大は8月にも報告をまとめるが、その内容次第では現行のガイドラインの構造的要件を上回る基準が示される可能性もある。
■タグ 建設工業 津波避難ビル 東海地震 東南海地震 南海地震 津波避難ビルに関するガイドライン 富士市 名古屋市 大阪市 助成措置 社会資本整備総合交付金 指定基準
■関連URL
■添付ファイル
■管理番号 No.01303


PAGETOP
| お問合せ・所在地 | サイトマップ | 電子パンフレット | リンク・著作権 | 個人情報保護方針 |