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【再生の針路 被災市町3ヵ月】連載 仙台市/石巻市/山元町/気仙沼市/多賀城市/亘理町/七...

■題 名 【再生の針路 被災市町3ヵ月】連載 仙台市/石巻市/山元町/気仙沼市/多賀城市/亘理町/七ヶ浜町/東松島市/名取市/南三陸町/塩釜市/岩沼市/女川町/松島町
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(河北新報)
■概要 . 東日本大震災から3力月がたち、被災市町の復興への動きが本格化してきた。被害の規模や地域特性を考慮しながら、未来を見据えた試行錯誤が続く。被災した14市町のトップに再生の焦点を聞き、その針路を探る。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 1仙台市 奥山恵美子市長 宅地復旧への支援重視 @河北新報(2011.6.15)
 津波を受けた東部沿岸と丘陵団地の宅地被害に同じ比重を置き、被災者の生活再建に取り組む。ともに集団移転の可能性があり、合意形成はこれからヤマ場を迎える。
 震度7に匹敵する揺れに襲われてもつぶれなかった百万都市は、世界にそうない。復旧復興でさらに機能を高め、都市と安全のテーマで世界に発信したい。
 新しい次元の防災都市を目指し、東北全体を視野に入れ、エネルギー備蓄基地を内陸の交通結節点に整備したい。救援物資の物流基地も必要。東北に備蓄機能があれば、首都圏も備えとして心強いはずだ。
 地域の自立度を高める工夫をしたい。例えば高層マンションに住民が2日間ほど暮らせる水、食料など最低限の備蓄を義務付ける条例を制定できないか。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 2石巻市 亀山紘市長 通信インフラを再構築 @河北新報(2011.6.16)
 食料の備蓄や自家発電の用意はもちろんだが、特に重要なのは非常時の通信インフラ。石巻市のような広域自治体にとって、総合支所単位での情報集約、本庁との情報共有は欠かせない。早急に直しを図る。
 当面は、仮設住宅の整備と入居後のコミュニティ再建に力を入れる。避難所で暮らす市民の心のケアなどにも目を配りたい。
 産業分野では、日本製紙石巻工場をはじめとする第2次産業の企業が、こぞって石巻での再開を表明してくれた。一方で第1次産業の立て直しが課題になる。漁港や田畑など冠水した働き場所を土地利用計画上どのように位置付け、いかに働き手の安全を確保するのか、しっかり協議したい。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 3山元町 斎藤俊夫町長 コンパクトな街目指す @河北新報(2011.6.17)
 東日本大震災前から少子化、高齢化、人口減少という課題を抱えていた。今後は震災復興に加え、町のグランドデザイン策定に取り組む。コンパクトシティーを基調とし、中心市街地が分かる町づくりを進めたい。
 町民を安全な高台に誘導するため、集団移転を進める必要がある。都市計画をしっかり立て、住宅地やエ業地域などの用途地域を設定したい。
 津波で被災したJR常磐線のルートをどうするのかも課題だ。JR側からは「被災地域はできるだけ回避したい」と説明を受けた。当座の足確保と将来を見据えた町づくりとの整合性をどう図るか。
 防波堤や防災緑地などの整備に当たっては、町だけでなく、広域的な視点が問われる。県や国が前面に出てきてほしい。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 4気仙沼市 菅原茂市長 加工場団地を高台移転 @河北新報(2011.6.18)
 震災対策はどれもゆるがせにできない。財政的には国直轄に近い形での厚い支援が必要。税収が見込めない被災地では市単独で対策を進めるのが到底困難だからだ。
 被災者の生活再建では、仮設住宅の用地確定の目標を6月中としている。適地不足だが、民地の活用などで8月までに建設できるようやり抜きたい。
 雇用の確保、水産を軸にした産業再生も最優先事項。事業所の多くが被災し、一帯が地盤沈下のため冠水している。加工場団地の高台移転も住宅の集団移転と併せて考えなければならない。
 災害に強い都市基盤を整備し、長期的なまちづくりの青写真を描くためには、国に三陸道のルートを早く示してもらうことが先決だ。
 もうひとつ重要な視点は環境との共生。エネルギー消費に配慮したエコタウン構想など100年後の評価に堪える社会システムやライフスタイルを、まちづくりに取り入れていきたい。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 5多賀城市 菊地健次郎市長 防災広報「無線」で強化 @河北新報(2011.6.19)
 災害に強いまちづくりを復興の基本方針に、市民が安心して生活できる環境を整える。水害に備えて設置していた13カ所の広報装置は地震発生直後、電話回線がダウンしてほとんど機節レなかった。
 仙台港周辺の工業地帯は津波の被害が特に大きかった。ライフラインの復旧も遅れている。転出を決めた企業も少なくない。東京の本社を回り、多賀城にとどまるようお願いしているが、事業主は余震や津波に不安を抱いている。仙台港の安全をどう守るのか、国は早く指針を示してほしい。
 震災の影響で、多賀城駅周辺のJR仙石線を高架化する県の連続立体交差事業は半年遅れたが、2013年度までに駅の北側と南側の一体的な整備を進めていく。
 東北歴史博物館を、震災の教訓や資料を集めた 防災教育施設として国立博物館化する構想も抱いている。「史都」多賀城から、防災の知恵を世界に発信したい。
 
■再生の針路 被災市町3ヵ月 6亘理町 斎藤邦男町長 地域特性生かす計画を @河北新報(2011.6.20)
 鳥の海を挟んだ南北二つの沿岸被災地は地域性が異なる。荒浜は漁業と観光、吉田はイチゴというように、それぞれの特色を生かした復興計画を作らなければならない。
 国に要望したいのは、財政規模に応じた自治体の復興経費負担。仙台市と比べ亘理町は一般会計当初予算ベースで50分の1程度なのに負担は一律。財政破綻しないよう改善を求めていく。
 JR常磐線について、南隣の山元町ではルート変更の問題が浮上しているが、被害が少なかった浜吉田駅までは既存ルートで早期再開してほしいというのが亘理町の立場だ。ただ未開通のうちに踏切を含む町道数か所を拡幅したい。震災直後、常磐線を横断する道路で渋滞が起きた。スムーズな避難経路を確保するためにも早めに着手したい。
 復興計画策定は国、県の計画を眺めながら、町民の意向を踏まえて進める。防潮堤整備はまちづくりの根幹に関わるので、具体的な高さ、強度などを国に示してもらうことが重要になる。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 7七ヶ浜町 渡辺善夫町長ソフト面の防災に力点 @河北新報(2011.6.21)
 最優先で取り組むべきは住宅の再建だ。被災世帯の6、7割が高台への移転を望んでいる。現行の補助制度では町の財政負担が大きすぎる。国には100%に近い助成をお願いしている。
 被災者は財産を全て流され、無一文になってしまった。新たな土地の購入代金との相殺を可能とする被災宅地の買い上げ制度を創設してほしい。 一方で「海の近くで以前と同じ暮らしがしたい」と望む人たちに高台移転を強いることはできない。1000年に1度の津波に対応した堤防建設が現実的な策とも思えない。避難路の整備などにとどめざるを得ない。
 震災では町内に20ある自主防災組織や、児童・生徒の防災訓練を指導してきた教職員が力を発揮した。復興計画では、こうしたソフト面の防災対策を強化していく。
 砂浜を復元し、マリンスポーツのにぎわいを取り戻したい。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 8東松島市 阿部秀保市長 集団移転の実現に全力 @河北新報(2011.6.22)
 集団移転事業は、現行法では土地利用に縛りがあったり、経費の負担割合が自治体の予
算規模をはるかに超えたりしている。これまで全国で認められた防災集団移転事業の戸数を東松島市だけで上回ることを考えればハードルは極めて高いが、異常事態であることを強調して何とか打開したい。
 将来的な土地利用案はできるだけ早く市民に示すつもりだ。今月下旬に開く有識者委員会でたたき台を作り、今後の具体的なプランの中に住民の声を反映させたい。
 石巻市、女川町と昨年秋に結んだ「定住自立圏構想」は大切にしたい。いずれも被災した自治体だが、若い世代に移住したいと思ってもらうぐらいの街にしなければ、お互い復興する意味がない。子育て支援や働く場の創出などを意識し、政策を練りたい。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 9名取市 佐々木一十郎市長 港など観光地に活用も @河北新報(2011.6.23)
 閖上・下増田地区が津波で大きな被害を受けた。
 閖上地区は1)安全・安心の保障 2)にぎわいの復活 3)港町の風情や文化の継承--を基本方針として、新たなまちづくりを考えていく。これまでと同じ町をつくったら衰退する一方だ。「災い転じて福となす」ということわざもある。震災を機に港や海水浴場、貞山堀など既存資源を最大限活用したマリンリゾート地帯として、観光地としての活用を図る方法もある。閖上地区の農地については、塩害対策とともに大規模な農場整備を行い、集団営農ができる方策を検討する。
 下増田地区では、北釜など複数の集落から集団移転の要望が出ている。園芸作物農家がほとんどなので住宅用地のほか農地の確保が重要だ。住民の費用負担が少ない形で移転できるよう国に働き掛ける。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 10南三陸町 佐藤仁町長 秋ザケ漁前に仮設市場 @河北新報(2011.6.24)
 県内一の水揚げ量を誇る秋ザケ漁が始まる9月ごろまでに、仮設市場の建設を完了させる。水揚げが戻れば、水産加工業も再開し雇用が生まれる。
 市街地は壊滅し、地盤沈下も著しい。津波浸水域に住むのは難しい。復興基本方針案は「職住分離」が柱だ。いずれも巨額の費用が必要となる。津波浸水地域の国有化や高台造成の国直轄事業化など国の支援が不可欠だが、国会ではようやく復興基本法が成立したばかり。国の動きは遅すぎる。
 防災計画は1から見直し、どんな災害でも命を守る複合的な計画を目指す。16メートルの津波が来たから17メートルの防潮堤を造るという発想では、同じ被害を繰り返しかねない。
 津波の恐ろしさを後世に伝える責務もある。被災施設の保存も含め議論していきたい。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 11塩釜市 佐藤昭市長 「安心なまち」基盤整備 @河北新報(2011.6.25)
 宮城県沖地震による避難者を3200人と想定して物資を備蓄してきたが、震災による避難は9000人に上った。防災計画を練り直す上での反省材料だ。まずは「安心して住み続けりれるまちづくリ」を進めることが行政の役割ではないだろうか。その第一歩として、防災無線をデジタル化し、難聴区域の解消を目指す。3.6メートルの津波を想定して造られた防潮堤は、かさ上げを検討したい。その内側にある道路、必要であれば宅地にも盛け土を施し、三段構えで市街地を守る。
 寒風沢島で住宅の半数が流失するなど浦戸諸島の被害は甚大だ。離島のコミュニティーを維持するため、島民と集落の再編を検討する。高齢化が著しい島民に「もう一度家を建ててほしい」と求めるのは酷だ。善後策として共同住宅の整備を提案する。国や県には財政面で協力をお願いしたい。
 
■再生の針路 被災市町3ヵ月 12岩沼市 井口経明市長 震災関連死防止へ全力 @河北新報(2011.6.26)
 これまでは被災者に仮設住宅に入居してもらうことを重視してきた。希望者全員が避難所から仮設に移り、第1段階はいち早くクリアできた。今後は孤独死など震災関連死を防ぐことが重要だ。
 仙台空港岩沼臨空・矢野目工業団地など市内の工場では約1100人が失職した。生活保護受給者は間違いなく増える。市民が受給者にならないよう万全の対応を取るが、受給者になっても早く自立できるよう支援したい。
 市域の約5割、農地は約6割が津波で浸水した。除塩すれば来年には田植えができると考えていたが、地盤沈下が明らかになったことで計画が狂った。市には土木技術のノウハウが少ないので、国がどう農地復旧を進めるかを示すべきだ。
 津波被害が再び起こるのを防ぐため、市道空港三軒茶屋線のかさ上げ、貞山堀の護岸強化、防潮堤の再整備で多重防御の備えをしたい。沿岸部には国内外から義援金を募り、津波の勢いを減衰させる「千年希望の丘」も整備したい。

■再生の針路 被災市町3ヵ月 13女川町 安住宣孝町長 港町づくり減災基本に @河北新報(2011.6.27)
 「安心・安全な港町づくり」「港町産業の再生と発展」「住みよい港町づくり」の三つが町の復興のテーマになる。女川は海の恵みを受けながら生きていくしかない。18メートルもの高さに達した津波を完全には防げない。「減災」の考えを基本にしたい。
 住宅や行政機能は高台に移し、海岸沿いには津波の威力を弱める公園を造る。盛り土した上で背後地に水産加工施設を復活きせたい。
 反対意見が強かった漁村集落の集約化はゾーニング案を一部修正したが、基本的な考えは変わっていない。どうすれば漁村コミュニティーを次世代に引き継げるかという視点が不可欠。粘り強く話し合っていく。
 
■再生の針路 被災市町3ヵ月 14松島町 大橋健男町長 観光再興の先頭に立つ @河北新報(2011.6.28)
 震災当日、約1200人の観光客が町を訪れていたが一人の犠牲者もなく自宅へ帰ってもらえた。観光協会や遊覧船乗組員による日ごろの訓練のたまものであり、彼らが「観光・松島」の金看板を守ってくれた。
 七ヶ浜町の小中学校に給食を提供したり、避難所を開設して東松島市の被災者を受け入れたりと、被害が大きかった近隣自冷体への支援にも力を注いだ。
 松島は宮城、東北の観光を引っ張る立場にあリ、果たすべき役割は大きい。観光立国を目指す国の方針と歩調を合わせ「国際化」と「地産地消」をキーワードに再興を図る。
 その一方で土産物などを扱う商店は規模の小さい家族経営がほとんどだ。支援が不可欠と考え、被害を受けた零細商工業者に無利子で再建資金を貸し付ける制度を提案したが、議会に否決された。早いタイミングで再提案する。
 震災直後の数日間は行政も混乱し、地域単位の防災力と情報伝達に課題を残した。支援物資などが届くまでの数日間を、地域社会が自力で生き抜くための「防災耐震性」とでも呼ぶべき能力を身に付けられるよう対策を講じたい。
■タグ 河北新報 再生の針路 仙台市 石巻市 山元町 気仙沼市 多賀城市 亘理町 七ヶ浜町 東松島市 名取市 南三陸町 塩釜市 岩沼市 女川町 松島町
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