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【再生の針路 内陸自治体から】連載 栗原市/加美町/大郷町/川崎町/白石市/丸森町/登米市...

■題 名 【再生の針路 内陸自治体から】連載 栗原市/加美町/大郷町/川崎町/白石市/丸森町/登米市/利府町/大崎市/美里町
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(河北新報)
■概要 . 東日本大震災は、県の内陸部にも大きな被害を及ぼした。震災発生から間もなく4ヵ月。復旧・復興に向けた取り組みや沿岸部への支援について、主な内陸自治体のトップに聞いた。

■再生の針路 内陸自治体から 1栗原市 佐藤勇市長 中小企業へ独自支援策 @河北新報(2011.7.9)
 3年前の岩手・宮城内陸地震の経験から市民に自助、共助、公助が浸透し、犠牲者を1人も出さずに済んだ。これだけ長期にわたり電気、水道、燃料の供給が止まった経験は初めてで不安は大きかった。当初からライフラインを早期に復旧させ自宅に戻すことで、沿岸部支援にシフトすることを目標にした。
 ただ、市内の被害も甚大で、高清水、志波姫、瀬峰の3総合支所は使えなくなった。国の災害査定は現状復旧が原則だが、それでは耐震が不十分な場合もあり、国には現実に即した柔軟な対応を求めている。
 震災復興計画は内陸地震後に定めていたが、平野部の住宅復旧と中小企業向けの支援策が不十分だった。このため、この2点をふまえた65項目の独自支援策を作った。全体で財政調整基金を25億円弱取り崩した。内陸地震の経験から私的財産への弾力的な公金投入の必要性を痛感しており、それを先取りした形だ。

■再生の針路 内陸自治体から 2加美町 佐藤澄男町長 避難者に職住の提供を @河北新報(2011.7.10)
 沿岸部の津波被害は加美町と比べることができないほど甚大だった。県全体で復興復旧に取り組むべき事態と考え、3月13日に県から被災者受け入れの打診に応じ、準備に取り掛かった。中新田交流センターに4月3日、第1陣を迎え入れ、最大で72人が生活していた。いまでも50人が暮らしている。
 これからは、被災者を次のステージにどう送り出すかが課題だ。避難所を提供し、お世話をしてきた者として考えなければならない。地元で生活基盤再建の見通しが立たず帰れない人には、町内に職住一体の環境を提供できれぱと考えている。ただ、雇用の確保は非常に難しい問題だ。
 被災地から転入してきた小中学生26人の存在が大きな意味を持つと考えている。子ども同士の交流や、子どもを介した地域社会と被災者のつながりが、支援の気持ちを維持させる力になる。震災後によく使われる言葉を用いた、子どもたちが「絆」の結び目になると期待している。

■再生の針路 内陸自治体から 3大郷町 赤間正幸町長 町施設被害大 復旧急ぐ @河北新報(2011.7.12)
 道路や農業、下水道施設を中心に被害が出た。町には過去に氾濫を繰り返した吉田川が流れ、干拓された品井沼もあり、弱い地盤が残る。町関連施設の被害額(7月初め現在)は29億6300万円に上る。震災関連が含まれていない本年度一般会計当初予算(38億4850万円)の75%超に相当する。
 町税の落ち込みも想定され、大変厳しい財政になる。3ヵ年計画で震災復旧に取り組む方針だが、新たな新規事業を実施する体力はない。8月中に町民を交えた復興会議を設置したい。町が財政計画を示した上で、復興について話し合い、新たな町づくりの提言がまとまれぱいいと思っている。
 
■再生の針路 内陸自治体から 4川崎町 佐藤昭光町長 避難者との交流盛んに @河北新報(2011.7.13)
 町の温泉旅館などは4月以降、石巻市の被災者の2次避難先となっている。町民は避難者を支援するボランティア活動に懸命に励んでいる。その姿に胸を打たれる。その献身的な姿を見て、石巻の人たちから「川崎は町民の人柄も温かいし、水もいい」と感謝の言葉を頂く。住民は自分たちにもできることはあると自信を深めていると思う。
 町は住民の活動を側面から支えている。イベントの周知やバス送迎を行うほか、2次避難者が何を望んでいるのか聞いて回っている。通常は有料の町民バスを無料にして病院、買い物の足として提供している。今後は、石巻への一時帰宅にもバスを運行したい。観光イベントには被災者の人々も招待し、滞在中に少しでもいい思い出をつくってもらいたい。皆さんが石巻に帰った後にも、海と山の交流が続くとうれしい。

■再生の針路 内陸自治体から 5白石市 風間康静市長 経済復興のけん引役に @河北新報(2011.7.14)
 白石市内で被害が大きかったのが、白石城や古典芸能伝承の館・碧水園などの文化施設だ。こうした施設の復旧には億単位の金額が必要になるが、市だけでは負担しきれない。碧水園は生涯学習施設として国の財政支援が認められたが、白石城は補助対象に当たらないため国に支援をお願いしている。武将ブームもあって、白石城を愛する人が全国にいっぱいいる。白石城の復旧は市の復興のシンボルになるだろう。
 国は(復旧事業費を決める)災害査定を簡素化してほしい。市としては再び地震が起きた場合でも被害が出ないよう、より良く復旧したいが、国は原状復帰が原則で、市の要望がなかなか認められない。われわれを信じて任せてほしい。
 市の復興計画は9月末までに策定したい。基本目標は「市民生活の再生」「産業・経済の再生」「防災のまちづくり」の3点。復興期間は7年間とし、復旧、再生、発展を同時に進める。まずは内陸部が元気にならないと、沿岸部への支榜が滞る。祭りなどで外から人を呼び込み、白石がけん引役となって地域経済を回していきたい。こんな時期だからこそ消費や観光を自粛せず、遊びに来てほしい。

■再生の針路 内陸自治体から 6丸森町 保科郷雄町長 放射線不安解消を図る @河北新報(2011.7.15)
 福島第1原発事故には町も被害者という認識を持って対応している。丸森は福島県に
食い込むように位置しているのに宮城県というだけで福島県内の自治体と同様の対策、補償が受けられない。国にも地図を示しながら訴えている。
 放射線量が比較的高かった小学校の校庭などで、県内初となる除染を行った。東北大の技術協力が得られ、低予算で実施できた。ただ、一定の条件があり、現時点で国の補助対象になるかどうかは不透明だ。その点では、県の遅すぎる対応に不満がある。宮城県も女川原発を抱えている。今回の事故と同じ状況が地元で起きた場合どう対処するのか。県も当事者として、津波被害対策と同様に考えてもらいたい。

■再生の針路 内陸自治体から 7登米市 布施孝尚市長 構想策定沿岸部も視野 @河北新報(2011.7.16)
 復興ビジョンを描くためには、市内の状況だけを見ていては不十分だ。大津波で壊滅的な被害を受けた沿岸部を含め、広域的な視野で検討しなければならない。雇用の創出がまず重要になる。沿岸部から市内の仮設住宅や避難所、貸家に移ってきた住民は、2000人以上いるとみられる。そうした人たちを含めて、働く場を確保する必要がある。
 雇用創出と地域経済の活性化を目的に、震災で被災し市内で建物を新設する中小企業に対し、最高300万円を補助する制度を打ち出した。情報サービス業のディオジャパン(松山市)が7月、市内にコールセンターを開設することも決まっている。採用する従業員は被災者ら約100人。雇用の確保に弾みがつく動きとして歓迎している。
 医療体制は、震災後の状況を踏まえて再検討することが必要だ。沿岸部の医療機関が大きな打撃を受け、登米市立病院が担う役割が大きくなった。登米医療圏だけでなく、沿岸部を含めた広域的な医療圏にどう対応していくかを考えなければいけない。
 登米市は、内陸自治体の中で比較的被害が大きい地域だった。市内のほとんどの公的施設は多かれ少なかれダメージを受けている。施設の統廃合を検討する必要もあるだろう。

■再生の針路 内陸自治体から 8利府町 鈴木勝雄町長 安全確保 規制緩和が鍵 @河北新報(2011.7.18)
 震災以降、他市町かりの転入が相次ぎ、町内の賃貸住宅や宅地は空きが少ない。土地を求める沿岸部の被災企業も増えている。災害に強い住宅地や商業地を整備し、被災者に安心して住める場所を提供したい。そのためには規制緩和が不可欠だ。
 塩釜市や多賀城市との町境には市街地調整区域と農業振興地域が広がる。上下水道などは整備されていて大規模な宅地造成は必要ない。規制緩和ですぐに活用できる。文化財保護区域も見直しが必要だ。
 松島湾に面する浜田と須賀の両地区は大津波で浸水した。浜田の山間部にある採石場跡地約20ヘクタールを移転先として検討しているが、国指定の特別名勝松島の保護地区にかかり、エ事や造成が制限される。採石場跡地を宅地にできれば、近隣市町からも被災者の受け入れが可能だ。県と指定範囲の5市町で規制緩和を働き掛けている。国には柔軟な対応を求めたい。

■再生の針路 内陸自治体から 9大崎市 伊藤康志市長 「自給率向上」モデルを @河北新報(2011.7.19)
 市域は東西に長く、震源地に近い田尻や鹿島台、古い建物が多い松山や古川中心部の被害が大きい。過去の地震で少しずつ傷み、4月7日の余震が追い打ちを掛けた。余震が続くのを受け、家屋の罹災証明の再調査依頼が多い。国や県、姉妹都市の応援を得て調査中で、7月末に終了する予定だ。家屋解体とがれき処理に当初1年を見込んだが、業者が足りず、2年かかると覚悟している。
 復旧工事に関する心配は技術面と財源だ。本格復旧に補助金がつくのは国による被害査定後だが、道路や公共施設などの査定が進まない。復興庁に権限を一元化し、早急に対応してほしい。
 10月策定を目指す2017年度末までの市震災復興計画で内陸部の復興モデルを示したい。食料や水、エネルギーの自給率向上など、地域を再発見し、誇リを取り戻す内容にする。沿岸部や日本海側との横の連携も盛り込む。

■再生の針路 内陸自治体から 10美里町 佐々木功悦町長 間借りの3幼稚園統合 @河北新報(2011.7.21)
 美里町は内陸部で最も被害の著しい市町村の一つだろう。3月11日の東日本大震災で受けたダメージが、4月7日の余震でさらに大きくなった。北浦、中倅、小牛田の3幼稚園は本震の被害箇所の修理が完了していたが、余震で再び壊れた。各地区の小学校の教室を間借りしてもらっている。来年夏を目標に3幼稚園を統合して「こども園」への移行を目指す。
 国の災害査定の遅さを感じる。道路や学校など公共施設の復旧には国による補助が不可欠。臨時議会で順次予算化し、復旧工事に着手している。
 福島第1原発事故を受けて、私自身が原発問題にいかに無知だったかを思い知らされた。美里町は女川原発の立地する石巻市に接している。再稼働問題については、立地する2市町と県だけが東北電力と事前協議を行う現状を改め、周辺市町村の参加が実現するよう強く訴えていく。
■タグ 河北新報 再生の針路 栗原市 加美町 大郷町 川崎町 白石市 丸森町 登米市 利府町 大崎市 美里町
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