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【東日本大震災6か月】 存亡の危機女川の奮闘 / 主要漁港で漁再開 / 作付け1割弱宮城...
■題 名 | 【東日本大震災6か月】 存亡の危機女川の奮闘 / 主要漁港で漁再開 / 作付け1割弱宮城の被災農地 / 復興「遅れている」被災地首長アンケート | ||
■日 付 | 1899年12月31日 | ■大分類 | 新聞等(読売) |
■概要 | ◇存亡の危機女川の奮闘 復興「早くしないとダメになる」 (4月町民ら協議会) 「早く将来に向けた計画を示さないと、町に住み続けるかどうかで町民の気持ちが揺らぐ」危機感を募らせた安住宜孝町長が「復興推進室」を設置したのは4月15日。女川第二小の校舎を間借りしていた町役場で安住町長は「お盆までには町民にメッセージを出す」とげきを飛ぱした。「行政は人手不足。民間から町づくりに立ち上がるべきだ」。避難生活を送っていた商工、漁業、観光などの関係者が4月19日には「女川町復興連絡協議会」(FRK)を設立した。 FRKの3人を含め、住民と有識者ら14人で構成する復興計面策定委員会は、5月1日から計5回の会合を開き、8月10日には計画案を最終答申した。町内を住宅や水産加工など用途別に8ゾーンに区分。2012千度までを宅地などを造成する「復旧期」、13?15年度を漁港整備などにあてる「基盤整備期」とし、水産加工場や商店街が本格再開する「本格復興期」には16?18年度と定めた。 (自慢の運動公園潰し住宅) 町観光協会長の鈴木敬幸さんは、町の宅地面積の約13%にあたる運助公園(24.5ヘクタール)を宅地とするよう訴えた。海抜33メートルにある運動公園は、浸水しなかった数少ない施設。第2回会合で運動公園を宅地化する案がまとまった。 しかし、この方針に公聴会で反対意見が出た。「残った町民の財産は運助公園だけ。残すべきだ」というものだった。ただ、地震でひぴなどが入った陸上競技場だけでも修復に約10億円かかる。町も「新規造成よりも、1年早く宅地を整備できる」と見ており、委員会は公聴会後、一部の施設を残すことを検討課題としたものの、方針は変えなかった。 (半径500メートルごと津波避難ビル) 女川町は、82%を山林に覆われ、宅地はわずか3%弱。浸水地域も利用しながら再整備せざるをえない。「商業眼光ゾーン」に指定されたのも、津波被害のあった女川駅周辺だった。そこで「減災」の観点を取り入れ、一帯を盛土して地盤を高くするほか、海岸近くを走る国道もかさ上げして堤防の役創を担わせ、半径500メートルごとに津波避難ビルを建設する。 (集約化結論出ず) 委員会第2回会合。県漁協女川町支所運営委員長の阿部彰喜さんが声を荒らげた。「高台移転には同意するが集落の集約化は困難だ」。町内15か所の浜は、ほぽすぺてが被災した。町は集落を高台2か所にまとめ、漁港も集約する「たたき台」を示していた。阿部さんは「浜が違えば文化が違い、祭りの獅子舞の踊り方も違う。漁師は先祖から受け継いだ土地で漁業をすることでパワーを感じる」と話す。一部の漁師は何度も町役場を訪れ、浜ごとの移転を要請した。 結局、委員会は結綸を先送りしたが、漁村に暮らす若い世代からは「小さな集落には娘も来ない」「大きな集落にしないと若者はみんな出て行く」という声が町に寄せられており、町は「まだ、話し台いの余地はある」としている。 (災害遺構 保存方法に配慮) 計画案では、津波で倒れた女川交番や民間企業「女川サプリメント」が所有するビルなど4つの建物を保存、周辺を「メモリアル公園」などとして整備する。「災害伝承と観光、二つの側面を持たせることができれば」。委員会の第l回会合で、減災・復興支援槻構の木村拓郎理事長は保存の必要性を脱いた。ただ、町民から選ぱれたある委員は「学者さんに『学術的な価値がある』と言われたら何も言えなかった」と漏らす。保存を所有者側から断られた建物もあり、公聴会でも「見るとつらい」という住民の声が上がった。木村理事長は「保存方法に配慮したい」と話した。 (町負担 年間予算の20倍) 「計画が夢物語に終わらなけれぱ良いのだが・・・」。復興に向けた青写真を描いた女川町。だが、財源のメドは全く立っていない。集団移転の用地取得や造成には、補助金などで国が事業費の94%を負担する制度があるが、補助金額に上限が設けられているため、市町村の負担が増える可能性が高い。 官城県が1月、「人口約1万人、昨年度の当初予算約60億円」の自治体をモデルに、集団移転を含む復興事業費を試算すると、2107億円に上った。うち1165億円が自治体負担だ。モデルケースと全く同じ規模の女川町。試算通りだと、町の負担は年間予算の20倍にも相当する。 ◇主要漁港で漁再開 サンマ水揚げ 気仙沼は1割 水産庁によると、岩手、宮城、福島3県の2009年漁獲量は約65万トンで国内の約12%。3県の263漁港は多くが壊滅状態となり、漁船も約9割の約2万3000隻が被害を受けた。 気仙沼漁港の水揚げはカツオが例年の3割、サンマが1刻。電気、水道の寸断で水産加工・冷凍施設が復旧せず、生出荷に限られるためだ。サンマの魚群は三陸沖へ南下中で、船を修理したり、全国の漁業関係者から船を譲り受けたりして出漁する漁師も少しずつ増えているだけに「もっとスピード感を持って支援を」と訴える。 カキやワカメの養殖業者も養殖ロープを作り直して漁を再開。官城県では、被災した養殖漁場の約6割でがれきを撤去したというが、「ローブが絡まる恐れがあり、安心できない」。 ◇作付け1割弱 宮城の被災農地 岩手、宮城、福鳥3県で津波で被災した農地約1万ヘクタールのうち約7割(1万4300ヘクタール)が宮城県内。同県内の被災農地の9割以上はヘドロや用水路損壊などで今年度の作付けを断念、遅くとも3年以内の再開を目指す。 宮城県農林水産部の千葉宇京部長は「農家が営農意欲を失わないよう転作支援などで支えたい」と危機感を示す。同県東松島市のアンケートでは、漁業者の約7剖が漁を続けたいと答えたのに対し、農業者で「続けたい」は3割弱。JA仙台の高野秀策組合長は「コメ中心から野菜、果樹など付加価値の高い品目の栽培や、農地集約・大規模化など抜本改革が必要」と話す。 そんな中、岩沼市では、NPO法人「農商工連携サポートセンター」(東京)が東大などと連携し、バクテリアで塩分濃度を下げてトマトを収穫。亘理町と山元町ではイチゴ農家380戸の多くがハウスを流されたが、100戸でハウスを再建し、収穫準備を進める。果物王国・福島県では桃や梨の収穫が始まった。 ◇復興「遅れている」 被災地首長アンケート 津波被災地は「復興に国の財政支榎を」と要望し、原発周辺自治体も「早く除染を」と国にいらだちを募らせている。東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島県の沿岸と福島第一原子力発電所周辺の市町村長を対象に読売新聞が行ったアンケ-卜からは、国の後押しが弱いため、震災半年になる今も復興が進まないことへの不満の大ささが改めて浮き彫りになった。 (住民の就業の場ない) 被災者の生活再建のめどについては、震災2か月を前に行ったアンケートとほぽ同じ傾 向だった。「全く立てていない」としたのは双葉、大熊、富岡、楢葉町と飯舘村で、いずれも原発周辺自治体。「ほとんど立っていない」とした21市町村の中では、「農漁業の復旧のめどが立つていないことに加え、就業の場がない」(宮城県七ヶ浜町)などと仕事がないことを理由に挙げるケースが目立つ。 (自助努力だけでは困難) この半年間の自治体の復旧・復興状況について「全く進んでいない」と答えたのは福島県双葉町、大熊町、富岡町、飯舘村。原発事故で古里を追われ、復興のスタートラインにも立てないという認識を示している。「相当遅れている」としたのは10市町村。町長が死亡し、8月末の選挙でようやく新町長が決まった岩手県大槌町は「周回連れのトップランナー」と自らを表現。自治体で最大規模の被害を受けた宮城県石巻市は「復旧・復興は市の自助努力だけでは到底できない」と訴える。 復旧・復興で特に遅れているもの(複数同答)で一番多かったのは「防潮堤や防波堤の復旧など防災対策」。国土交通省によると、3県の海岸堤防約300キロのうち約190キロが全半壊した。 「地盤沈下した土地の復旧」も大きな懸案だ。1メートル近く沈下したところもある岩手県大船渡市。満潮時に最大30センチほど道路が冠水し、生活や復旧の妨げになっている。 「水産業の復旧」遅れも深刻。岩手県山田町は「水産加工業の経営者は二重ローンで事業再起に踏み切れない」、宮城県名取市は「造船所などの被災で新船建造が順番待ち」とする。福鳥県いわき市は「魚介類から規制値を超える放射性物質が検出され、冶岸漁業が再開できない」と訴える。 (17市町、特区を検討) 「復興特区」には、岩手、宮城県が要望を出しているが、市町村も申請できる。検討しているのは17市町。うち7市町は住宅の高台移転などに伴う土地利用変更の手続き簡素化などを求めたいとした。岩手県宮古市は宅地確保に向け「文化財保護法の弾力的運用」を訴える。市内には約640か所に遺跡があり、担当者は「発掘調査に時間がかかれば高台移転が遅れる可能性もある」。東北地方は縄文・弥生時代の遺跡が多く、他自治体でも懸案となりそうだ。 同県岩泉町は、浸水した保育所を干しアワビ加工場に変更しようとして、建設時に受けた補助金の返還義務が障害となった。「補助金返還が免除される特区を」と要望する。 原発事故を受け、太陽光など再生可能エネルギー導入に関する特区を検討しているのは8市町。 |
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