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東日本大震災から半年 復興計画策定進まず / 雇用維持が地域の要 / 営農再開へ課題山積 ...
■題 名 | 東日本大震災から半年 復興計画策定進まず / 雇用維持が地域の要 / 営農再開へ課題山積 / 進路決定へ試練の秋 / 野田政権財源難航で遅れも / 職と住、同時が必要 | ||
■日 付 | 1899年12月31日 | ■大分類 | 新聞等(岩手日報) |
■概要 | . 東日本大震災から11日で半年。県総合防災室のまとめ(9日午後5時現在)では岩手県内の死者数は4656人、行方不明者は1692人。最大399ヵ所(3月19日現在)に設置された公共施設・宿泊施設の避難所は、8月31日の山田町の4ヵ所を最後に全て閉鎖。最大5万4429人(3月13日現在)に上った避難者のうち、災害救助法の適用を受ける避難者は宮古市の市営住宅で生活する2世帯4人。仮設住宅は8月11日までに全1万3984戸が完成。入居率は90・7%(8月26日現在)で約±300戸が空き部屋となっており、県や市町村が活用策を調整している。 これまでに沿岸の12市町村で復興計画を策定したのは久慈市と洋野町のみ。ほかは今月から年末までの取りまとめを目指しており、居住エリアの設定や雇用創出に向けた産業再生など同計画の早期策定・実行が望まれる。 ◇雇用維持が地域の要 産業再興、待ったなし 厚生労働省の8月末のまとめでは、震災後に失業手当受給のために離職票・休業票を受け取った人は、岩手、宮城、福島3県で前年同期の1.8倍に当たる約8万5千人に上る。対策に当たる厚労省幹部は「とりあえず仮設住宅はできた。次は雇用。それをなおざりにしては、被災者が生活保護に頼り切ることになってしまう」と話す。 被客を受けた沿岸部は漁業や農業に携わる住民も多い。店舗を流された商店主も大勢いる。福鳥県では放射性物質の影響で職場に立ち入ることもできない人たちがいる。厚労省幹部は「復興計画を素早く進めて地域産業を再興し、被災者が恒久的な職に就けるようにしなければ地域が死んでしまう」と危機感を訴えている。 ◇がれき、施設損壊、離農農地…営農再開へ課題山積 青森から千葉までの太平洋沿岸6県のまとめでは、昨年のコメの作付面積計約40万ヘクタールのうち約2万ヘクタールが浸水。このうち除塩などにより今春作付けができたのは約2700ヘクタールにとどまった。来春までに全面作付けが可能となりそうなのは青森、茨城、千葉の3県だけだ。 浸水による作付け不能区域と別に、排水施設の損壊などで作付けを自粛した区域も宮城県を中心に1300ヘクタール以上出た。これらの区域では他の大規模農家に農地を委託する動きもある。 政府は復興の工程表で3年以内の農地復旧を示した。だが、土地改良や離農農家の農地利用など地域で話し合う必要がある調整事項が多くあり、営農再開には課題が山積している。調整が長期化すれば高齢農家が離農し、引き受け手のない農地が大量に耕作放棄地化する恐れもある。名古屋大の生源寺真一教授(農業経済学)は「広域の生産基盤復旧の道筋が立てば農家の意思決定も進む。行政が時間的な見通しを早く示し、営農再開の可否について不確定要素を除去することが重要だ」と指摘している。 ◇進路決定へ試練の秋 被災地の中学生にも受験勉強の季節がやってきた。大槌町の大槌中学校。私立高校の入試は1月、公立高校は3月。12月までに志望校を決めるため、2学期は9月中に2回目の進路希望調査、月1回の実力テスト、10月には高校の担当者による説明会と、受験に向けた予定が待ち構える。避難所の消灯時間が早く、勉強時間がとれないと相談する生徒もいた。 志望校選びの一番の障害は交通費や制服などにかかる費用だ。大槌中のほぼ半数は町内の大槌高に進学するが、進学校の釜石高や専門学科を持つ釜石商工高、部活動の盛んな私立を含む内陸の高校を希望する生徒も多い。大槌町ではJRの線路が津波で消失し、震災後無料だったバスも8月から通常運賃に。現在はJRの定期代でバスに乗車できるが、この措置がいつまで続くかは未定だ。今春卒業した121人のうち11人は震災後、経済的理由などで進学先の高校を変えた。進路指導を担当する教諭は「口には出さないが、家庭の経済状況を考えて志望校のレベルを下げる子もいるようだ」と話す。 岩手県や宮城、福島各県で、校舎が被災したり原発事故の警戒区域にあったりして他の施設を使う中学は43校。町づくりに関わるため、仮設校舎の建設や校舎の再建場所について方針が決まらないケースも多く、学習環境改善への道のりは険しい。 ◇特養施設の定員超 入所者、職員に疲労の色 被害を受けた特別養護老人ホームや老人保健施設では再建の見通しも立たず、多くの高齢者が避難先で不自由な生活を強いられたままだ。受け入れた施設も定員超過が続き、入所者や職員の疲労も限界に達しつつある。 宮城県のまとめでは、県内で定員超えの特養ホームは8月1日時点で18力所。岩手県や福島県の被災地でも同様の状態で、国は廃校や閉院した病院を改装し臨時施設としたり、仮設特養を整備する方針を打ち出したが、費用や土地確保の問題もあり、即効性はない。 ◇工程表の実行急ぐ 野田政権財源難航で遅れも 野田政権が課題に掲げる復興の加速には「農地は3年、堤防は5年」などと定めた工程表に沿った公共インフラの着実な復旧が急務だ。事業費を盛り込む2011年度第3次補正予算が鍵を握るが、与党内には増税反対論も強く、議論は入りロで難航。成立が遅れれぱ執行もずれ込むため、被災市町村からは「先が見えない」と懸念する声が上がっている。 被災市町村では、復興計画の策定作業が年末にかけてヤマ場を迎える。政府が職員を派遣し計画作りを支援している市町村は、青森から千葉までの津波被災6県で43あるが、策定済みの自治体はわずか。地元側は「まちづくりや除染など個別事業にどれだけ国の支援が得られるのか分からず、計画を定めにくい。予算配分の詳細を早く示してほしい」(福島県市長会)としている。 ◇職と住、同時が必要 阪神に比べ被害広域 1995年の阪神大震災に比べ、はるかに広域の復興が必要だ。東日本大震災の被災者の多くは、住居と働く場所の両方を一度に失った。住宅を失ったものの他地域に通勤していて失業を免れた人が多く、地域の人口が数年で元の水準に回復した阪神大震災との大きな違いだ。働けない状況が続くと若者の流出が加速する恐れもあり、住宅と職場を早期に同時再建することが必要になる。 みずほ総合研究所の岡田豊主任研究員は「被災地の高齢化は急速に進んでいる。20?30年先も残る街をつくるには移住を含め、集まって住むことを考えるべきだ」と提案している。 |
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■タグ | 岩手日報 仮設住宅 復興計画 厚生労働省 失業手当 雇用 農地復旧 土地改良 塩分除去・除塩 営農再開 離農 耕作放棄地 生源寺真一 進学 受験 志望校 学習環境 特別養護老人ホーム 老人保健施設 工程表 第3次補正予算 阪神大震災 岡田豊 | ||
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