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【経済教室】特区設け改革の突破口に 宅地・農地を集約化 コメの生産は廃止を 八田達夫 大阪...

■題 名 【経済教室】特区設け改革の突破口に 宅地・農地を集約化 コメの生産は廃止を 八田達夫 大阪大学招聘教授 吉田修平 政策研究大学院大学客員教授
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(日経)
■概要 . 震災復興では、宅地や農地の集約化で土地を有効利用することが急務であるが、土地集約を妨げる様々な規制があり、その多くは全国ベースで迅速に改革することが政治的に容易でない。しかし被災地における切迫した必要性に鑑み、被災地内に限ってこれらの規制を改革すべきであろう。そのためには「復興特区」を設ける必要がある。

(ポイント)
・被災地に限り土地集約を妨げる規制を改革
・定期借地権による土地集約も要件見直しを
・復興特区では株式会社の農地所有を認めよ

 密集住宅地では、権利変換方式の市街地再開発事業が集約化のために活用される。とはいえ所有権を動かすのは容易ではない。住居を失った人にとっては、土地を貸すことで集約し集合住宅を建てる方が容易である。被災した地主たちが定期借地権を活用して、土地を借地人(地方自治体や第三セクター、企業)に、例えば50年間貸すと、集約化された土地に集合住宅を建設できる。地主たちは地代に代えて集合住宅の区分所有権を取得できるので、無償で建て替えができることになる。
 ただし、定期借地権による土地の集約では、反対者に適正な補償金を払って他に移ってもらうことができないため、一帯の土地で二戸だけが反対した場合でも、集約化できないことがある。
 復興特区では、定期借地権による集約についても3分の2の合意などで決定し、反対者には補償することで集約化できる再開発事業が必要である。

 被災地の農地の集約化は新しい挑戦である。農地は土地改良法を用いると、一定の地域の3分の2の合意で一団の土地の所有権を集約できる。しかし、農地も定期借地権制度を活用して、複数の被災農家の農地が集約されれば、農家は地代収入を得ながらその農地で働ける。
 しかし、この方式により農地を集約化するには、宅地の場合と同様、地主の全員合意が前提である。一軒でも反対したら集約化できない。
 復興特区では、農地の集約についても、市街地再開発事業と同様の手続きで集約決定できる「借地による農地再開発事業」を導入すべきである。

 現在の農地法では、株式会社は農地を借りることはできるが、原則として保有できない。従って、一般的には株式会社は土地改良法による集約を利用できない。株式会社が農地集約する機会を広げるには「借地による農地再開発事業」を採用することが極めて重要である。さらに農地集約を促進するには復興特区に限り、株式会社の農地所有を認めることが有効である。株式会社が「借地による農地再開発事業」で農地集約に着手した場合でも、その後で株式会社が農地所有できるようになれば、農家が貸している土地を株式会社に売ることもできる。売り手にも買い手にもメリットがある。
■タグ 日経 経済教室 コラム 八田達夫 吉田修平 定期借地権 土地集約 集合住宅 区分所有権 復興特区 農地 集約化 土地改良法 再開発事業 株式会社 農地所有
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