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【座標】 高台移転論議 暮らし踏まえ総合的に 東北学院大文学部歴史学科教授 政岡伸洋...

■題 名 【座標】 高台移転論議 暮らし踏まえ総合的に 東北学院大文学部歴史学科教授 政岡伸洋
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(河北新報)
■概要 . 大船渡市三陸町吉浜地区は、明治三陸大津波の際に甚大な被害を出したが、高台移転により、今回の大震災も含め、その後それほど大きな被害がなかった。一方、内閣府の調査結果によると、過去に移転した宮城・岩手両県の集落のうち、21地区に被害があったという。これに対する中央防災会議専門調査会座長のコメントは、「移転先は中途半端な場所ではいけないということが教訓として示された」というものであったが、これを読んで筆者は違和感を覚えた。単に津波の来ない場所に集落を移すだけでいいのか。
 三陸沿岸部には、漁業や養殖業などを主たる生業とする集落が多いが、海と居住空間を切り離すことは難しい。天候の急激な変化は、時として船や港湾、養殖施設に大きな被害をもたらす。これまでの研究によれば、その危険性の判断は、暮らしの中で培われてきた海やその周辺の可視的な変化などの知識に基づくものも多い。その点で、海の見えない場所に住むことは、私たちが想像する以上に生活上問題があり、単に不便という言葉だけでは片付けられない。
 高台移転に関して言えぱ、生業との関係上、津波の危険が残る場所を選ばざるを得ない例も出てこよう。その際は、堤防や道路などの高架化により津波の勢いを弱め、さらに高齢者らの存在も考慮した、使いやすく頑丈で高い避難所を建ててもよい。今回の大震災では、堤防だけでは津波の被害を防ぐことができないばかりか、逆にその存在が「安心」を生み出し被害を大きくした。防災意識と避難行動も重視されよう。
 津波への対応はどれも万能ではない。しかし、これらを組み合わせ、バランスを変えていけば、大きな力を発揮し、地域の多様性にも対応できる可能性がある。
■タグ 河北新報 座標 コラム 政岡伸洋 高台移転
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