東日本大震災復興計画情報ポータルサイト(特設サイト)

【再興への道】いわて東日本大震災検証と提言 第6部高台移転 4-7...

■題 名 【再興への道】いわて東日本大震災検証と提言 第6部高台移転 4-7
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(岩手日報)
■概要 ■【再興への道】いわて東日本大震災検証と提言 第6部復興計画 4)大船渡・吉浜 命守った先人の教訓 @岩手日報(2011.12.1)
 大船渡市三陸町吉浜。東日本大震災の津波は吉浜海岸の背後に広がる水田をなめ尽くした。しかし、海抜16〜20メートルの県道250号沿いに集まる住家のほとんどが被害を免れ、全半壊4戸、犠牲者1人にとどまった。
 今回浸水した水田一帯は1896(明治29)年の明治三陸大津波当時、吉浜村(当時)の中心集落・本郷地区があり被害が集中した場所だ。当時の本郷地区は36戸が流失、半壊し、死者、行方不明者は人口の約2割に当たる推定約200人。そのため、村長主導で全戸が高台移転。被災者自身が土地を見つけたり、費用を賄う「自力移転」が行われた。1933(昭和8)年の昭和三陸大津波では、本郷地区以外でも被害が発生。住家流失11戸、全壊4戸、半壊1戸、死者、行方不明者は17人だった。このときは行政が約2年間かけて高台移転地「復興地」を造成。11戸が復興地に移り、残りも自力移転したという。県道の基となった道路も整備し、現在の高台集落が形成された。
 「低地では農業、漁業を営み、住居は津波が来ない場所に」。そのころから吉浜地域の方針は一貫している。「津波はおっかないと言い聞かせられて育ったから不便だと思ったことはない」。運搬・移動手段が車に変わり利便性が格段に向上した今も、急な坂道を上り下りする吉浜の「通勤風景」は変わらない。

■【再興への道】いわて東日本大震災検証と提言 第6部復興計画 5)陸前高田・気仙 課題へ専門家と連携 @岩手日報(2011.12.2)
 陸前高田市気仙町の8世帯ほどで構成する要谷地区集団移転協議会は11月22日、市に要望書を提出した。避難所生活だった7月から法政大大学院の宮城孝教授(社会福祉学)や明治大理工学部の山本俊哉教授(建築学)と連携し、新潟県小千谷市十二平集落や北海道奥尻町の例を参考に高台移転を研究。できる限り多くの住民が集団移転することで、従来の地域コミュニティーを守る方針を立てた。
 しかし、実現には課題が山積する。住民が望む移転地は三陸縦貫自動車道の建設予定エリアと重なっており、同協議会は要谷地区を担当する長部地区コミュニティ推進協議会などと協力し、国にルートが重ならないよう求める。経済的な不安も大きい。被害が広域な東日本大震災では多額の義援金の配分は期待できない。地震保険も本県の加入率は13.2%(2010年度末)にすぎず、再建資金が足りない世帯が多数生じる恐れがある。
 そこで同協議会は、被災した土地の買い取り価格引き上げや移転地との等価交換を要望。災害発生から37ヵ月以内とされている被災者生活再建支援金の加算支援金(最高200万円)の申請期間延長も求めている。災害復興住宅も集団移転地内に木造の戸建てや長屋方式で建設するよう求めている。

■【再興への道】いわて東日本大震災検証と提言 第6部復興計画 6)大槌・赤浜(上) 海の見えるまち望む @岩手日報(2011.12.3)
 「災害に強い人づくり」を掲げる大槌町の赤浜の復興を考える会は、高台移転の推進を訴える。11月27日開かれた赤浜地域復興協議会で、住民は再建する防潮堤の高さを「まちから海が見える程度」でこれまでと同じ高さの6.4メートルにとどめる一方、住民の防災意識を向上し、避難を徹底させることで大災害に備える地域復興計画案を承認した。
 東日本大震災の浸水区域には居住せず、産業用地や緑地公園として活用する。住宅地は山を切り崩したり、浸水区域外の土地をさらに6〜8メートルかさ上げしたりして造成する考え。犠牲者の多くは防潮堤の近くに住んでいた。同会は、停電で情報が寸断された上、防潮堤に視界を遮られて海の変動に気付かず、自宅に残ったまま被災したと考えている。蓮莱島の眺望など景観面からも、巨大防潮堤の悪影響を懸念する住民の声は根強い。
 一方、国や県は同地区に高さ14.5メートルの防潮堤を建設し、比較的頻度の高い津波を食い止める方針。県の計画通り巨大防潮堤を建設すれば多額の国補助が見込めるが、住民の意見を尊重して防潮堤を低くしても、差額分の補助金を地盤のかさ上げなどに活用することはできない。
 
■【再興への道】いわて東日本大震災検証と提言 第6部復興計画 7)大槌・赤浜(下) 大型防潮堤に問題点 @岩手日報(2011.12.4)
 「議論が密室で進んだ印象がある。幅広く科学者や地域住民の議論にさらされずに決まった計画は信用できない」東京大先端科学技術研究センターの西成活裕教授(渋滞学)は、衆議院第1議員会館で11月25日に開かれた緊急院内勉強会で、防潮堤の高さを決めた議論の在し方に疑問を呈した。
 岩手県で実質的な議論を行った県の津波防災技術専門委は非公開だった。そこで決まった大槌町赤浜地区の防潮堤の高さは14.5メートル。一方、地元住民で組織する赤浜の復興を考える会は、まちから海が見えるよう防潮堤を従来の6.4メートルにとどめ、住宅地は浸水区域外の高台に設ける考えだ。
 緊急勉強会は、同地区の復興計画を研究する研究者や建築家、医師らで組織する「持続社会のための国際デザインネットワーク」などが主催。国や県の方針の問題点を指摘し、高台移転を訴えた。大型の防潮堤整備については、海が見えなくなることによる避難の遅れのほか、景観や漁業への影響を懸念。建設に年単位の期間を要し、完成までは住宅再建ができないため、避難生活の長期化とそれに伴う人口減少の恐れも指摘した。
 今回の震災では消防団員や民生委員ら、低地の住民に避難を促すために犠牲となった人も多かった。岩手県災害対策本部で災害派遣医療チーム(DMAT)の調整に当たった岩手医大医学部の秋冨慎司医師は「低地に人がいる限り、そこに助けに行く人がいる。迎えに下りる必要のないまちづくりが絶対に必要だ」と話す。

(終わり)
■タグ 岩手日報 再興への道 いわて東日本大震災検証と提言 コラム 高台移転 大船渡市 三陸町 吉浜地区 通勤漁業 通勤農業 陸前高田市 気仙町 要谷地区 要谷地区集団移転協議会 集団移転 地域コミュニティー 大槌町 赤浜地区 赤浜地域復興協議会 防潮堤 堤防高
■関連URL
■添付ファイル
■管理番号 No.02759


PAGETOP
| お問合せ・所在地 | サイトマップ | 電子パンフレット | リンク・著作権 | 個人情報保護方針 |