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国補助外の支出増 県、市町村の財政 ニーズ合わず悪化...

■題 名 国補助外の支出増 県、市町村の財政 ニーズ合わず悪化
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(福島民報)
■概要 . 東日本大震災と原発事故への対応で、福島県や市町村は国の補助対象外の事業に多額の支出を強いられている。国の補助制度が現場のニーズに合わないことが背景にあり、関係者は実態に見合った制度の創設を訴える。

(貯金ゼロ)
 福島県はこれまで表土除去など除染関連の負担分とともに放射線量の低減に向けた洗浄機の整備、畜産農家への融資、サテライト校開設などで多額の予算を投入してきた。国の第三次補正では、県に5000億円を超える基金や補助金が交付される予定だが、畜産農家への融資、サテライト校の開設費などは補助対象となっておらず、財政調整基金などの主要基金を取り崩したり、県債を発行したりして財源を確保してきた。この結果、総額22億円の主要基金は全て使い果たし、県債残高は9月時点で11兆3870億円と昨年度より870億円も膨れ上がった。
(膨らむ借金)
 いわき市は震災で全壊した世帯に10万円を給付する事業などに単独予算を支出した結果、今年度当初時点で約60億円あった財政調整基金は7月に1億円余りになった。
 郡山市は市役所の耐震化を含めた復旧工事費に31億円かかると見積もっている。しかし、国の補助はなく、市債発行で確保するしかない。
 相馬市は仮設住宅で暮らす市民ら3000人に夕食の配給を続けている。しかし、事業費3億円は市単独予算で賄わざるを得ない。当初20億円あった財政調整基金は12月補正時点で1億2000万円に減っている。
(融通利かず)
 伊達市は来年度予算でホールボディーカウンターの購入を検討しているが、国の補助はなく、車載式なら1台1億円の購入費を全額自主財源で賄うことに二の足を踏む。
 食品の検査関連費に対する国の支援もなく、福島市は自主財源1150万円を投じて食品の放射能簡易分析機7台を購入した。ホールボディーカウンタ-の導入に際しては、子どもの健康対策などに充てる県の「県民健康管理基金」を活用できないか県に打診した。しかし「使い道が既に決まっている」と難色を示されたという。

◇予算編成に苦慮 復興・振興に影響か
 県や市町村は国の不十分な補助制度を独自の予算で補い続ける中で、事業の見直しも迫られている。来年度予算の編成時期を迎え、財源確保に苦慮する自治体も少なくない。
(事業縮小・廃止)
 県は国の補助対象以外の事業への財源捻出に向け、今年度予定していた各種表彰、啓発・人材育成事業などを相次いで縮小・廃止した。ただ、この程度では増す一方の財政支出を補うまでには至らない。
 いわき市財政課は来年度の予算編成に向け、市単独の道路・施設建設事業費を総合計画に示した基準額より20%減らすよう各部局に指示した。これにより、事業が遅れる可能性も出ている。
 鏡石町はあやめ祭りの事業費など商工観光施策を中心に36事業を休止するなどして、学校の放射線対策などの復興財源5600万円を確保した。来年度も同規模の事業を見直す考えだが、休止や廃止による地域振興への影響を指摘する声も上がる。
(返答なし)
 大熊町の財政担当者は、国が警戒区域の解除の見通しを示さないことにいらだつ。「早くめどを付けてくれなければ、予算を編成できない」と、国の工程表見直しの行方を注視する。
 来春の住民帰還を目指す川内村は、帰還開始後に生じる「想定外」の課題に対応するため国に地方交付税の増額を求めてきた。これを活用して独自の雇用創出策などを実施する方針だが、国からはいまだに何の返答もないという。
(スピード感)
 国は福島復興再生特別措置法の中で、避難区域を中心にした自治体の特別な財政支援を検討している。しかし、具体的な方針は打ち出しきれていない。県は「三次補正でも対応されなかった分野の補助制度の創設や復興関連の人件費の交付税措置、財源確保の法的担保などを国に働き掛ける」としている。市町村からは「将来も大事だが、当面の対策にスピード感が欠ける」との不満も漏れる。
■タグ 福島民報 補助対象外 自主財源 単独予算 財政悪化
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■管理番号 No.02778


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