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「海の自治」崩壊させる水産復興特区構造 紛争解決の歴史軽視 東京海洋大海洋科学部准教授 演...
■題 名 | 「海の自治」崩壊させる水産復興特区構造 紛争解決の歴史軽視 東京海洋大海洋科学部准教授 演田武士 | ||
■日 付 | 1899年12月31日 | ■大分類 | 新聞等(河北新報) |
■概要 | . 復興特別区域法案が今国会で可決されようとしている。その中には村井嘉浩宮城県知事が提唱した「水産復興特区構想」の関連措置が含まれている。他の特区関連措置で、被災者がこれほど反発している話は聞かない。 漁民らは「漁業者のサラリーマン化」につながると危機感を募らせている。しかし、この構想の狙いは、漁民の企業化を進めつつ民間企業からの出資や技術供与を促進することにあり、それ自体は強く否定されるものではない。 問題は、漁民による自治の否定にもつながるという点にある。漁民の間には、漁場の使い方を巡り、絶えずさまざまな利害対立が存在している。それ故、地元の海の環境に適した利用方法を、漁協の中で「漁業権行使規則」として民主的に定め、相互監視しながら、漁場利用の適正化と紛争防止に努めている。つまり漁民らは、漁業や養殖業を営む「権利」を得ているだけでなく、秩序形成のための活動に「参加」する「責任」も果たさなくてはならないのである。このように漁業権の権利には責任が付随しており、その責任履行には「自治」が必要なのである。 特区の枠組みでは、漁業権は知事が直接新規の漁民会社に与えることになる。その漁民会社は漁協加入の必要がなく、出資金や漁業権行使料など漁協への支払いも負わない。漁協の管理運営に関わる必要はなく、漁場管理コストの負担も一切無い。煩雑な手続きとコストを削減できれば、民間企業の資本参入が円滑に進むかもしれない。これこそが特区構想導入の核心部である。養殖を営む「権利」を取得しながらも、特区という傘の下で「責任」を負わなくていい低コスト型近代養殖経営の出現が想定されている。このことは漁場紛争の火種になることは言うまでもなく、漁協を中心に漁民たちが作り上げてきた自治の歴史的経過とその役割を踏みにじることにほかならない。 |
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■タグ | 河北新報 演田武士 水産業復興特区 民間資本 漁協 漁業権 | ||
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■管理番号 | No.02900 |