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きょう震災9カ月 被災自治体3割「事務能力限界」 / 復興事業に人手の壁 / 在宅被災者後...
■題 名 | きょう震災9カ月 被災自治体3割「事務能力限界」 / 復興事業に人手の壁 / 在宅被災者後回し / 被災市町村長の国への要望 | ||
■日 付 | 1899年12月31日 | ■大分類 | 新聞等(毎日) |
■概要 | ◇被災自治体3割「事務能力限界」 本紙調査 復興計画進展に差 東日本大震災から9ヵ月を機に、岩手、宮城、福島3県の42市町村長を対象に復興の現状アンケートを実施した(3県沿岸部の37市町村と原発事故の警戒区域や計画的避難区域にかかる5市町村全員から回答を得た)。 最大の課題は「財源」が4割弱で最多だが、3割弱は「事務能力や人員の限界」を挙げた。被災地域の高台や内陸への移転は、4割近くが住民合意が進んでいると答えたものの、半数以合意に至っていない。 復興計画は、福島県富岡町以外、全て年度内に作成する。計画完了予定時期は震災半年の時点と比べ、同県いわき市など7市町村が前倒ししたものの、岩手県釜石市など6市町は遅れが生じていた。 復興特区法が今月7日に成立したが、42人中25人が「具体的に活用する計画がある」、17人が「活用したい」と回答。震災後の人口流出は、「大変懸念している」が17人、「ある程度懸念している」も19人に上った。 42市町村の担当者によると、災害公営住宅(復興住宅)建設は少なくとも計約1万6500戸を予定。がれきの最終処理完了は24治体が14年3月を予定するが、県外引き受けが決まっているのは7自治体。全261漁港のうち水揚げを再開したのは139港だった。 (津波被害地域の高台・内陸への集団移転に関する住民合意) ・計画する全地域で、おおむね得ている………3 ・計画する地域の多くで、おおむね得ている………7 ・計画する地域の半数程度で、おおむね得ている………4 ・計画する地域の多くで、あまり得られない………0 ・計画する全地域で、あまり得られない………0 ・移転の計画地域はない………5 ・その他………18 (復興へ向け最大の障害や課題) ・財源………15 ・法制度の不備………2 ・国や県の復興構想や方針が具体性に欠ける………0 ・自治体の事務能力や人員の限界………11 ・住宅用地などの土地確保………2 ・原発事故………7 ・その他………0 ◇復興事業に人手の壁 被災地首長アンケートで復興に向けた最大の障害・課題に11人が挙げた「自治体の事務能力や人員の限界」。震災半年時点の調査では誰も挙げなかったが、復興事巣が本格化する中で一挙に増え、被災地の大きな課題に浮上した。 (石巻「現体制では執行不可能」) 「今後は一層、膨大な事務量が発生し、現在の市職員体制では復興事業の執行は実質的に不可能」。宮城県石巻市の亀山紘市長はそう回答した。復興事業が本格化する中で、人手不足は深刻。特に、住宅の高台移転や土地区画整理事業を進める土木系の技術職貝や、仮設住宅を回る保健師の不足が際立つ。公共事業削減が進む中、各自治体とも技術職員を減らしてきた。「ただでさえ少ない専門職員を長期派遣してもらうのは厳しい」(市建設部幹部)現実があり、人手不足を解消する妙案は見あたらない。 (大槌 住民主体で計画提出 高台移転など議論) 岩手県大槌町で4日、10の地区ごとにつくられた復興協議会の代表が、町にそれぞれの復興計画を提出した。町はこれをまとめ、町の復興計画として決定したい考え。震災で前町長が犠牲になり、復興に向けた作業の本格化は8月の碇川町長就任後と、他自治体に比べ大幅に遅れた。碇川町長は住民主体の復興を重視。高台移転などを検討するため、地区ごとに復興協議会を設置。都市計画や建築の専門家をコーディネーターに、住民40〜50人が参加し地図を広げて車座で議諭を重ねた。 (いわき 特区使い再生エネ施設誘致へ) 復興特区法成立で被災地の自治体は、企業誘致のための減税といった特例を活用できるようになった。福島県いわき市は「復興ピジョン」で、洋上風力発電など再生可能エネル ギーの実証実験施設や、放射線に関する最先端の治療・研究拠点の誘致で復興特区を活用する方針を示した。 アンケートでは多くの首長が、▽集団移転を進めるため農地など土地利用計画の変更▽企業誘致のため税制優遇措置▽公営住宅を巡る規制緩和--で特区を活用すると表明した。 ◇在宅被災者後回し 自宅に残って暮らす「在宅被災者」が支援を求めている。仮設住宅の入居者と進って物資の配布を受けられなかったり、自治体の復興計画がはっきりしないことや職人不足から家の修繕も遅れているためだ。行政による実態把握も進まず、支援の網から抜け落ちている。 (行政方針あやふや 実態把握これから) 宮城県石巻市門脇の片平さん宅では、ボランティアが1階の床にパネルを張る作業を始めた。同市では、住宅の新築・改修に一定の条件がつく「被災市街地復興推進地域」の説明会が始まったばかり。片平さんは修繕を考えているが、市の方針がはっきりしないため踏み切れない。 宮城県建築宅地課によると、国が修繕費を補助する「応急修理制度」は県全体で4万6673件の申請があったが、工事完了は約4割の2万288件(11月29日現在)。震災で死亡した県建設職組合連合会の組合員も約40人に上る。他県から応援の申し出があっても、宿泊施設の確保もできない。在宅被災者について県は「今後支援に取り組む」と表明。石巻市も「仮設と違って目が行き届かないところがある」と認め、実態調査を進める考え。 (物資も届かず「生活苦 仮設と同じ」) 岩手県大船渡市赤崎町の40代女性は5月初旬、1階部分が浸水し全壊判定を受けた自宅に避難先から戻った。仮設住宅や「みなし仮設」(借り上げ賃貸住宅や公営住宅)なら、冷蔵庫やテレビなどの家電6点セットのほか暖房器具も配られるが、支援物資が届いたことは一度もない。「生活が大変なのは、仮設住宅も自宅も同じなのに」と漏らす。 支援に取り組む「大船渡アクションネットワーク」は11月末から、在宅被災者に毛布や冬物衣料の配布を始めた。ネットワークは近く、在宅被災者の家族構成や必要な支援などの情報をまとめた名簿を作成予定だ。大船渡市保健福祉課は「義援金や仮設への物資の支給など業務が山積みで職員が足りず、手が回らない」とお手上げ状態だ。 一方、釜石市は市の住宅修理制度に申し込むか、自宅で暮らしていると申し出た被災者をリストアップ。県とNPOの協力を得て、11月初旬から暖房器具などを配布している。市地域づくり推進課は「(在宅被災者)専用の窓口を設けるなど今後も対策が必要だ」と話す。 ◇被災市町村長の国への要望 42市町村の首長に国への要望を聞いたところ、財政支援拡充や人的支援、原発事故対策を求める声が相次いだ。岩手、宮城両県の首長からは、復興事業を進めるための人的支援を求める声が目立ち、新たな課題に直面している現状が浮かぶ。一方、福島県の首長からは除染を中心に原発事故対策の要望が強い。通常の震災復興の前段階で苦闘している状況で、岩手・宮城に比べ復興へ向けた道のりの険しさが際立っている。 |
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