東日本大震災復興計画情報ポータルサイト(特設サイト)

【列島再生】 震災後の日本を考える 人口減負の連鎖 医療・交通弱体化...

■題 名 【列島再生】 震災後の日本を考える 人口減負の連鎖 医療・交通弱体化
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(読売)
■概要 . 東日本大震災は、日本全体が抱える諸問題を改めて浮き彫りにした。東京一極集中は止まらず、65歳以上の住民が50%以上の限界集落は1万を超え、少子高齢化による人口減や経済のグローバル化の影響もあって、問題はより深刻化している。このまま手をこまねいていた場合の日本の将来像の一端を示してみた。

◇医療過疎、首都圏も苦悩
 東日本大震災は、必要なときに十分な医療サービスを受けられないことが、どれほど住民にとって厳しいことかを再認識させた。それが将来、首都圏でさえ医療過疎に直面する日がやってくるかもしれないという。東京の下町地域では開業医の高齢化が逸み、70歳を超えるペテランも多い。住民も高齢化が進んでいるため地域に密着した医師の必要性は高いが「若手医師に開業を勧めても反応は鈍い。今の開業医が軒並み引退すると地域医療の空白区になりかねない」(経営コンサルタント)という状況。首都圏では開業希望が都心の山の手地区や神奈川の私鉄沿線に集中しており、需要と供給のバランスが大きく崩れている。
◇242万人「地域の足」遠のく 鉄道もバスも廃線止まらず
 少子高齢化の影響でローカル鉄道や路線バスなど公共交通機関の利用考は今後も減少傾向が続く。このままでは、高齢者などにとって不可欠な「地域の足」を維持することが難しくなる。国土交通省によると、鉄道は2000年以降、全国で33路線、計約635キロが姿を消した。これは東京-八戸間に匹敵する。バス事業者は民間の約7割、公営の約9割が赤字。路線廃止は06〜09年度で計8698キロに達し、毎年、北海道稚内市-鹿児島市間を超える距離がなくなっている計算。国交省などによると、バス停600メートル、鉄道駅1キロ圏外という「公共交通機関の空白区域」は全国で可住地面積全体の約31%を占める3万6433平方キロ。
◇229町村、給油も苦労 高齢者、都市に転居も
 経済産業省によると全国のガソリンスタンドの数は、1994年の6万店舗から2010年には3万8000店舗と36%も減少した。スタンドが3店以下の「給油所過疎地」は10年10月には229町村。
 青森駅前の中心街では02年以降、550戸以上のマンションが建ち、移り住む高齢者が増えている。青森市は09年から、高齢者が郊外に保有する一軒家を借り上げて子育て世代にまた貸しする一方、高齢者は中心市街地への転居を促す制度を始めた。6年前に郊外の一軒家から駅前の高層マンションに引っ越した女性(77)は「年齢的に車の運転も難しくなり、通院や買い物ができないためだ」という。今は徒歩圏内で済ますことができる。
◇海外視野、サービス業「有力」
 15歳の生産年齢人口は2010〜30年の間に、1388万人減って6740万人になると推計されている。これは総人口の減少幅(1196万人)を上回るハイペース。宮川努・学習院大教授(日本経済論)は「経済を支えるのはモノづくりだけではない。内需に残らず、海外展開したサービス産業も柱になる」とも指摘する。通商白書によると、1世帯あたり年3万5000ドル(約272万円)以上の可処分所得がある人口は、2010年は日本とその他のアジアでほぽ同数だったが、20年にはアジアが3.5億人近くに達し、日本の3倍を超える。この層は、小売りや飲食、医療・介護、教育といったサーピス産業の有望な市場になりうるという。
◇住民流出「団地滅びる」 空き家増加 高齢者嘆き
 国立社会保障・人口間題研究所が発表している将来推計人口によると、今から24年後の2035年に、人口は約1億1000万人と05年の国勢調査時点より約1700万人減る。65歳以上の老年人口は05年の20%から34%に跳ね上がる。05年に3%しかなかった「4割以上が高齢者の自治体」が42%を占めるまでになる。
 人口流出で公共交通や商店街が弱体化し、大量の高齢者だけが「ベッドタウン」に取り残される。2035年に05年より人口が増えると見込まれるのは、便利さを求めて人が流入する大都市とその周辺だけ。一方、中小都市の人口減少は加速し、この30年間で人口が60%以上減る自治体は10、40〜60%減る自冶体は289に上る。
◇インフラ更新 年8兆円
 東日本大震災によって、国内のインフラ(社会資本)がいかに危うい状況に至っているかを見せつけられた面も大きい。栃木県は9月議会で、那珂川にかかる「新那珂橋」(那珂川町)の取り壊しを決めた。1935年の完成から76年。修復を繰り返してきたが、東日本大震災で橋全休に多数の亀裂や剥落が生じた。全面通行止めにして対応を検討したが、現在の耐震基準を満たすように修復することは難しい。
 国内では今後、高度成長期以降に整備されたインフラが次々築後50年を経過する。国土交通省によると、道路橋だけを見ても全国で50年以上経過の割合は現在の8%から20年後には53%に急増する。根本祐二・東洋大教授の試算では、道路や橋、上下水道などに加え、学校や公営住宅などの公共施設を入れた更新費は今後50年間にわたって、年平均で8.1兆円を要する。
■タグ 読売 列島再生 医療過疎 公共交通 鉄道 バス 廃線 ガソリンスタンド 給油所過疎地 将来推計人口 少子高齢化 人口流出 インフラ更新
■関連URL
■添付ファイル
■管理番号 No.02985


PAGETOP
| お問合せ・所在地 | サイトマップ | 電子パンフレット | リンク・著作権 | 個人情報保護方針 |