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震災復興へ現状と課題 集団移転不安尽きず

■題 名 震災復興へ現状と課題 集団移転不安尽きず
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(岩手日報)
■概要 . 東日本大震災の被災地復興の核となる高台・内陸への集団移転について、国の財政支援が固まり、動きが本格化する。本県などの現状と課題を探った。

◇財源確保 方針揺らぎ住民二の足
 宮城県東松島市野蒜地区。11月に市が高台移転について開いた説明会で住民からいら立ちの声が飛んだ。住み慣れた土地に自宅を再建できるのか、それとも高台移転しなければならないのか、依然として見えていなかった。野蒜地区は、「東名運河」の南側と北側とで被害に差が出た。南側は多くの住宅が津波で流されたが、北側は浸水でとどまった住宅も点在する。市は当初、北側は「原則、現地復興エリア」と位置付けたが、その後「原則移転。残りたい人にも配慮する」と変わった。国の対応の遅れを要因とする復興方針の揺らぎ。集団移転費用を全額国負担とする国の第3次補正予算の形が見えるに従い、市から財政負担の懸念が消え、高台移転推進へと背中を押した。
 「政局に明け暮れてる時間など無いはず!」。大船渡市の戸田公明市長が視察に来る政府関係者や国会議員用に作成した文書は、本格的な復旧・復興に向けた補正予算の早期成立を痛烈な言葉で求めていた。震災直後はほかの被災地に先駆けた動きを見せたが、復興計画策定は当初想定の7月末から3ヵ月遅れの10月末にずれ込んだ。「補正予算の中身がいつ見えるのか情報収集を進めながら、計画を作っている感じだった」と戸田市長。

◇地域事情 「全員納得なんてない」
 宮古市田老地区のまちづくり検討会で議論の基になっているのは、宮古市が9月に示した4つの復興案。共通するのは防潮堤一つだけに守られる地域は居住禁止区域として高台移転を促すとする点だけ。二重の防潮堤に囲まれたエリアは高台移転と現地再建の両案を併記、「住民の希望を最大限尊重する」とした。
 ただ、二重の防潮堤で囲まれたエリアは面積が広く、住民の気持ちも多様だ。「明治三陸津波と昭和三陸津波、そして今回。100年で3度も津波に家を持っていかれたんだ。同じ場所に住めと言われても嫌だ」と話すのは中西さん。一方、漁業佐々木さんは自宅跡地に、漁の道具を置くためのプレハブ小屋を建てた。その隣では、被災した住宅の改修工事が進む。車を持たない佐々木さんには漁のために海岸に行くことすら難しくなる。「慣れ親しんだこの場所がいい。近所の人とも離れたくない」。住民の1人はため息交じりに言う。「皆、事情が違う。全員が納得できる答えを目指したってそんなものはない」

◇自己負担 浸水地価下落 募る不満
 仙台市は11月末に復興計画を決定。津波浸水が2メートルを超えると想定される海沿い地域に建築制限をかけ、約2千世帯を内陸に移転させる方針を打ち出した。「防災集団移転促進事業」を活用することで市の土地造成費の負担はゼロになる。だが被災者がその土地を購入したり住宅を建設する費用は自己負担。計画決定前から住民の関心事の一つは自己負担の額だった。
 住民の要望を受けた仙台市は9月中旬に「モデルケース算出表」を明らかにした。移転先の土地購入費や住宅建設費から、もともと住んでいた土地を仙台市に売却した額を差し引くなどして住民の自己負担を計算。移転元と移転先の土地価格の一覧表も添えた。仙台市は被災で土地の評価が下がるとして「価格減価率」を設定。高額な自己負担を懸念する被災者の声を受け、仙台市は移転先の土地を購入せずに借りる人には借地料の実質無料化など独自の負担軽減策を打ち出した。それでも12月の説明会では、減価率の設定に「根拠が分からない。絶対に納得いかない」と不満の声が相次いだ。
■タグ 岩手日報 高台移転 集団移転 東松島市 野蒜地区 大船渡市 宮古市 田老地区 仙台市 土地買い取り
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