東日本大震災復興計画情報ポータルサイト(特設サイト)

【東北再生あすへの針路】 再生委員に聞く 増田寛也氏 / 黒田昌裕氏 / 藤原作弥氏 / ...

■題 名 【東北再生あすへの針路】 再生委員に聞く 増田寛也氏 / 黒田昌裕氏 / 藤原作弥氏 / 首藤伸夫氏 / 伊東豊雄氏 / 今野秀洋氏
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(河北新報)
■概要 . 河北新報社は「安全安心のまちづくり」「新しい産業システムの創生」「東北の連帯」の3分野で計11項目の提言をまとめ、1日付で公表した。提言を基に被災地のまちづくりや産業興しを成し遂げ、東北の輝く未来を切り開くには、どんな課題や困難が待ち受けているのか。提言づくりに携わった河北新報社東北再生委員会委員に聞いた。(6回続き)

■【東北再生あすへの針路】 再生委員に聞く(1) 元総務相・増田寛也氏 県境超えた理念に意義 @河北新報(2012.1.3)
(間もなく震災から10カ月。現状をどのように受け止めるか?)
 個人や共同体は強いのに政府など組織の動きは鈍いまま。被災者は生活への不安が顕在化している。行政に不満のはけ口が向かう状況を、前に進む希望へと変えなければならない。
(復興への道筋をどう描くべきか?課題は?)
 どこまでを公が支援し、個は何をすべきか、役割分担を明確にしたい。県単位にとどまらず、被災地が一体となったビジョンを発信し続ける姿勢が大切。企業はグローバル化のただ中にいる。世界に開き、共存の素地をつくることは復興への力になる。
(提言では広域行政組織「東北再生共同体」の創設、「東北共同復興債」の発行など圏域一体の自立的復興を掲げたが?)
 復興には県境を超えたスケール感のある仕掛けが欠かせない。被災地の金融機関に資金は集まっているが、融資先を見いだせない。産業集積や高度化だけでなく、秋田、山形を含めた人材育成への投資などを考えてもいい。6県全体の底上げにつながるはず。
(2月にも復興庁が発足するが?)
 本来ならば、被災地に予算と実行部隊を備えた組織を置くべきだった。地方自治は国の縦割りとは違い、総合行政の力が求められる。県が市町村を強くサポートし、復興庁を動かす役割を果たさなければならない。

■【東北再生あすへの針路】 再生委員に聞く(2) 東北公益文科大学長・黒田昌裕氏 太陽光や風力、集約が鍵 @河北新報(2012.1.4)
(河北新報社の提言では原発依存度の低減を図ろうと、地域密着の再生可能エネルギー戦略を打ち出したが?)
 脱原発か卒原発かの議論とは別に、日本が今後、頼れるのは太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーしかない。コスト面の考慮は必要だが、原発の発電コストは安全対策や除染対策を含めれば今の数倍に膨れ上がる。再生可能エネルギーの課題は、資源が偏在し分散型にならざるを得ない点。安定的に集約し、産業用や家庭用に供給する社会システムが必要になる。スウェーデンのように発送電分離が不可欠だ。東西別々の周波数を一致させることは技術的に可能だし、スマートグリッド(次世代送電網)を構築すれば、いずれ脱原発は可能になる。エネルギーのインフラ構築は、東北復興の最重要課題になる。

■【東北再生あすへの針路】 再生委員に聞く(3) 元日銀副総裁・藤原作弥氏 経営支援の強化が急務 @河北新報(2012.1.5)
(経済復興において金融が果たすべき役割は?)
 戦後と比較されることが何かと多い「災後」だが、今ここで公的金融機関を復活させるのは時代に逆行する感もある。補助金や税制優遇、政策金融も含め、きめ細かに企業をサポートすべきだ。
(地場の中小零細企業の経営指導を担ってきた地域の金融機関も被災したが?)
 金融機関に限らず国や国の出先機関、地方自治体も含めて、経営指導力の脆弱さは震災前から日本経済の課題だった。経営支援が被災企業の強力な援軍になるのは間違いない。経営コンサルタントのような事業を展開するNPOも現れてはいるが、まだまだ数が少ない。提言にある東北再生機構のような組織やシステムが、臨時的にコンサルティングの機能を務めることは大いにあり得る話だ。

■【東北再生あすへの針路】 再生委員に聞く(4) 東北大名誉教授・首藤伸夫氏 住民同意 移住の大前提 @河北新報(2012.1.6)
(津波工学の専門家として、東日本大震災で最も印象に残っていることは?)
 大津波で驚いたことが二つある。鉄筋コンクリートの建物が倒壊したことと、仙台平野を襲った津波が真っ黒なヘドロだったことだ。鉄筋コンクリートの建物倒壊は女川町で6件、宮古市で2件。女川町では建物の全てのくいが引っこ抜かれた例もあった。政府は津波避難ビルの指定や新規建設を推進するが、倒壊の恐れがある津波避難ビルに人が逃げ込むという悲劇が起こりかねない。
(河北新報社の提言では高台移住を提案しているが?)
 高台移住が一番いい。もちろん移住する住民が納得することが大前提になる。その際、命、生計、コミュニティーを守ることが鍵を握る。インドネシアの大津波で高台移住した住民は5〜6年で低地に下りてきた。生計が成り立たなかったためだ。移住は向こう三軒両隣、一緒がいい。阪神大震災で問題となった孤独死も防止できる。
(防災教育の重要性にも触れているが?)
 「釜石の奇跡」はなぜ起きたのか。想定にとらわれず、自分の目を信じる防災教育を徹底したからだ。釜石市鵜住居地区は、成人の犠牲者のほとんどが危険地域の外側に住んでいた。自分の目で見て行動することが大事だ。

■【東北再生あすへの針路】 再生委員に聞く(5) 建築家・伊東豊雄氏 個性重視した街並みを @河北新報(2012.1.7)
(河北新報社の提言では被災土地への「定期賃借権」の設定を掲げたが?)
 災害に強いまちをつくり直すには、個人が所有する土地や建物などの問題に立ち返らざるを得ない。復興を加速するために定期賃借権のシステムは有効だと思う。住まいの再建には経済的な負担が大きく、被災者支援にもつながるだろう。
(津波防災をめぐっては多重防御に通じる「安全のグラデーション(段階的変化、階調)」を主張してきたが?)
 日本には「縁側文化」がある。内と外を壁で切らずに縁側でつなぐ。防潮堤もしかり。「こっちは怖い自然、こっちは安全な人間のすみか」と分断した考えが、被害拡大に災いしたような気がする。小高い丘や並木、公共施設などを3重4重に配置することで減災は図れる。海が眺められ、波の音が聞こえる生きたまちにしていくのが重要だ。
(幅広い人々と連携する建築の力が試されているが?)
 被災者から何を感じ取り、どう形にするかが問われている。まちづくり全般にも通じる。自然と建築、人間の調和を保持した東北の営みから、都市部に向けて新たな価値を示せるのではないか。

■【東北再生あすへの針路】 再生委員に聞く(6) 元経済産業審議官・今野秀洋氏 新産業世界市場視野に @河北新報(2012.1.8)
(被災地に新産業を生み出すために欠かせない視点とは?)
 東北は震災前から少子高齢化が進行し、1人当たりの所得も全国平均に比べ低かった。若い人たちが生涯設計を立てられるよう、将来性のある産業をつくっていかなければならない。国内市場は既に縮小傾向が始まっている。しかし少し目を転じれば、アジアには爆発的な成長を遂げる経済やマーケットがある。成長するマーケットを視野に産業創出を考えたい。
(産業創出の実現に向けた具体策は?)
 まずは企業の立地環境の整備。復興特区などを使って環境さえ整備すれば、東北にも企業は来る。津波で被災した仙台空港を民営化する動きがある。成功すれば全国の空港民営化の先鞭となるが、それには既存の規制緩和では全然足らないだろう。新しい花園を造るには森を切り開く覚悟がいる。小手先では駄目だ。
(集落営農の推進と規模拡大を提言したが?)
 英断だと思う。国産米を国内市場に隔離し、減反による生産調整で価格維持を図ってきた。こういう農業では生産性向上に結び付かない。隣国に爆発するマーケットがあるのだから、規模拡大を強力に図って輸出産業へ発展させるべきだ。
(同じことは水産業や観光業にも言えるか?)
 提言は、農業をはじめ水産業や観光業の6次産業化に触れている。若い人たちの創意や工夫がその鍵を握る。行政も社会も一体となって、若い人たちのチャレンジを応援したい。
■タグ 河北新報 東北再生あすへの針路 インタビュー 増田寛也 黒田昌裕 藤原作弥 首藤伸夫 伊東豊雄 今野秀洋
■関連URL
■添付ファイル
■管理番号 No.03249


PAGETOP
| お問合せ・所在地 | サイトマップ | 電子パンフレット | リンク・著作権 | 個人情報保護方針 |