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【正論】 「コンクリートから人へ」の幻想 京都大学大学院教授 藤井 聡...
■題 名 | 【正論】 「コンクリートから人へ」の幻想 京都大学大学院教授 藤井 聡 | ||
■日 付 | 1899年12月31日 | ■大分類 | 新聞等(産経) |
■概要 | . 多くの読者は、次のようなことをご存じないと思う。東北沿岸部で長く建設業を営んでこられた方に伺った話である。震災前、その方は堤防工事に携わっていた。受注した堤防工事は、当初計画よりも数メートル低いもので、それは、途中で公共事業の政府財源が削減されたことが理由だったという。彼は発注された仕様書に基づいて堤防を造った。堤防は大津波に乗り越えられ、多数の方々がその地で犠牲になった。彼は後日、現場を訪れたとき、当初計画の高さで堤防を築いてさえいれば、被害は防げたであろうことを理解したという。 「コンクリート」の重要性を示す事例は、よほどのことがない限り、明るみに出ない。しかし、「このコンクリートのおかけで救われたにという話とは逆方向の、「このコンクリートがなかったので民が殺められた」という事例が明らかになれば、賠償すら伴うような明確な「責任」が発生してしまう以上、そうした事例はめったなことでは表面化しない。 被災地では今、少しずつ復興事業が始められつつある。しかし、これだけの未曽有の被害を経てもなお、「土建国家の再来を警戒せよ」という通り一遍の論調がさまざまなメディアに表れている。そうした論調こそが公共事業反対ムードをつくり、それが公共事業予算を過激に削減させ、その結果、巨大地震の被害を拡大させて人々を苦しめ、多くの人々を殺め続けているという実態を、もういい加減、理解すべきときではなかろうか。 首都直下地震、東海・東南海・南海の三連動地震の危機が迫りつつある今、「公共事業はとにかく悪」という先入観を、それを「とにかく善」と見なす先入観とともにうち捨て、冷静かつ合理的に、なすべき強靭化対策を考えねばならぬときにきている。 |
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■タグ | 産経 正論 コラム 藤井聡 | ||
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■管理番号 | No.03570 |