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【経済教室】震災復興政策 経済学者が共同提言 持続可能社会へ市場活用 伊藤隆敏 東京大学教...

■題 名 【経済教室】震災復興政策 経済学者が共同提言 持続可能社会へ市場活用 伊藤隆敏 東京大学教授、伊藤元重 東京大学教授
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(日経)
■概要 . 東日本大震災からの復興について、復興構想会議を中心に多くの議論がなされている。長期的な視野で新たな町づくりを目指すべきだとの方向性があるようにみえるが、その具体論になると、様々な意見が入り乱れている。市町村か復興を主導すべきなのか、それとも広域の復興政策を考えるべきか。復興のコストは誰が負担すべきか。

(ポイント)
・復興費用は全国民が薄く広い負担をすべき
・電力はピーク時料金引き上げで需要平準化
・20?30年後にも栄える地域づくりを考えよ

(コスト負担 将来世代にツケ回すな)
 内閣府は震災に伴う直接的な被害額を16兆円?25兆円と推定している。原発事故の損害賠償で東京電力が負担しきれない部分を加えると、15兆?20兆円規模の追加的財政支出を覚悟しなければならない。
 こうした支出を国債の追加発行で賄い、時間をかけ返済していくという選択は、人口が増加し、経済成長率が高く、政府債筋・国内総生産比率が低い経済では正解だ。だが、日本経済は3条件をすべて満たしていない。
 復興国債はツケの先送りにほかならず、世代間の公平性を欠く。「増税か国債か」という議論の本質は「今生きている世代が負担するのか、将来世代が負担するのか」ということである。様々な年齢層・職業の全国民が薄く広い負担(増税)に応じるのが望ましい。

(電力対策 価格変動で需給調整を)
 電力の需給不均衡の解決策には2つの補完的アプローチがある。一つが価格機能を使い、電力料金引き上げによる需要抑制と、電力会社などが家庭や企業からの購入価格を上げることによる供給増を組み合わせる方法だ。
 電力料金引き上げは、価格シグナルを通じて供給を増やし需要を抑えるために必要である。引き上げ分を東電ではなく賠償基金に直接入る仕組みをつくる手もあろう。また、消費者に負担を転嫁することへの批判もあるが、多く消費する家庭の電力料金だけを上げることで、負担能力の差を考慮に入れることが可能である。
 もう一つは、15%削減を義務付けるにあたり、電力利用権(削減回避権)を大口需要者の間で売買させる方法だ。温暖化ガスの排出量取引で典型的な「キャップ・アンド・トレード」の手法を応用する。

(町づくり 集積の利益追求 特区・税制弾力的に)
 被災地の復興では、少子高齢化に加え、地方財政が今後一段と厳しくなることを考えなくてはいけない。特に高齢化の進む被災地では、これまでの町並みを再現したとしても、同様の行政サービスの継続は困難である。都市経済学で知られるような、都市の集積の利益を実現すべく、ある程度の人口集中が必要だ。
 津波の来ない地区に介護・医療施設、市役所、学校、商業施設などを集中的に配置し、その中に住居棟を設ける「コンパクトシティー」をつくるといったビジョンが必要になろう。
 復旧を断念する海岸沿い地域の土地の買い上げ、移転先候補地の確保、区画整理、容積率緩和など土地や建物に関する詳細な規制を適用除外するため、震災特区も活用すべきであろう。土地売買や土地交換に関する税制を弾力的に運用する必要がある。
■タグ 日経 経済教室 コラム 伊藤隆敏 伊藤元重 復興債 増税 需給調整 キャップ・アンド・トレード コンパクトシティー 規制緩和 特区
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