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【経済教室】漁業再生、加工業と一体で 適正規模へ拠点絞れ 参入規制緩和で投資誘致 小松正之...
■題 名 | 【経済教室】漁業再生、加工業と一体で 適正規模へ拠点絞れ 参入規制緩和で投資誘致 小松正之 政策研究大学院大学教授 | ||
■日 付 | 1899年12月31日 | ■大分類 | 新聞等(日経) |
■概要 | . 東北地方は、漁業で日本の生産量・金額の約15%を占める大生産地である。ただ「08年漁業センサス」によると、漁業者は3万6千人と全国の15%を占めるが、60歳以上の高齢者が基幹漁業の50%を占めるうえ、後継者も25%しかいない状況だ。従って単純な復旧・復興では東北地方の水産業は震災を契機に衰退が助長されよう。抜本的な対策が必要である。 (ポイント) ・単純な復興では東北の水産業は衰退の公算 ・歴史的つながりが深い市町村を統合し再生 ・近代的な資源管理制度を導入し雇用安定を 沿岸の都市・地域集落を新しく発足させる発想で再生する。市町村単独の復興は現実的ではない。拠点となる都市と町村を決め、それらに近隣市町村を統合して復興させる。歴史的、経済的にも水産業でのつながりが深い都市などを一つのモデル再生地区と考えたらよいのではないか。 街づくりでは、原則として高台に住居、学校、病院などを建設するほか、地元に残ることを選択する被災地住民に公営住宅を提供することも重要になろう。海岸の視界を遮る防潮堤や湾口防波堤が随所にあることで、即座に逃避行動を取らなかったため人命が失われた可能性がある。人工物による人命と財産の保全の効果と、その存在による人的被害など損失の双方から、維持費用も含めて徹底的に検証すべきだろう。 水揚げ岸壁や産地市場、後背地の加工団地は漁業と一体的な計画の下で整備する必要がある。既にわが国の沖合・沿岸漁業は最盛期の半分以下に減少している。基本的に現在の能力の半分程度を念頭に主要拠点に絞って、港湾と漁港を一体的に整備する。 さらに近代的な資源管理制度を導入する必要がある。思い切った休漁制と漁獲削減、漁獲枠を漁業者間でやり取りできる譲渡性個別割り当て(ITQ)方式を導入し、漁業経営の資源管理を近代化する。 養殖施殷、定置網および漁船がほとんど失われたので、協業化・会社化とともに規模を集約する。漁業法を改正し、養殖や定置網の漁業権を漁業者や漁業協同組合だけでなく、地域社会や企業も所有し、かつ売買や譲渡を可能とする。そうすれば、民間企業による投資を誘致することが可能となる。また漁業権が資産としての価値を有することになり、担保としての機能が発生し、金融機関からの融資も促進されよう。 漁業協同組合も壊滅的な影響を受けた。この際、販売力や技術力・経営力の向上のため、加工業者・流通業者と漁業者が新しい法人を設立し、地域の水産業振興のための新しい組織として再出発すべきである。さらに事実上、漁業共済制度を補完するにすぎない全国一律の漁業所得補償制度を廃止し、これを東日本の水産業の再生・新生につぎ込む。資源の回復と参入奨励のための予算に組み替えることも必要だ。 |
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■タグ | 日経 経済教室 コラム 小松正之 沿岸都市 沿岸集落 水産業 港湾 漁港 資源管理制度 漁協 協業化 会社化 漁業所得補償制度 | ||
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