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【経済教室】震災復旧は現場主導で 増田寛也 前岩手県知事・元総務相...

■題 名 【経済教室】震災復旧は現場主導で 増田寛也 前岩手県知事・元総務相
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(日経)
■概要 (ポイント)
・現地は復旧以前の段階。中央と認識のズレ。
・仮設住宅建設、車確保、仕事創出が急務。
・土地の賃借権設定や買い上げの検討を。

 知を超える自然災害が発生した場合こそ、行政の基礎的能力と応用能力の双方が問われる。しかしながら、被災地では行政が前例や規則に縛られる姿があった。例えば、現地の病院では医薬品が極度に不足した。そこで他の病院から医薬品を送ってもらおうとしたが、薬事法違反になることを関係者が恐れたため現場が混乱した。また、車を流された被災者が中古車を手に入れようとしたが、印鑑証明や車庫証明を求められた例もあった。
 今回の大震災では民間企業の現場力には目を見張るものがあった。現場での正確な判断と行動、それを許容した本社の英断があったといわれている。危機対応のためには中央省庁や県は決定権とカネを思い切って現場の市町村に移して、速やかな復旧を目指すべきである。

 現在、被災地で急がれるのは、がれきの処理に加え、仮設住宅の建設、移動手段(車の確保、そして仕事の創出である。
 仮設住宅は夏前までには必ず完成させなければならない。入居期間が長期に及ぶことが予想されるので、住宅地の中に介護や福祉の包括支援センターを設置することも必要である。
 被災地では20万台以上の車が失われたとみられるので、車庫証明の申請不要で便利な軽自勁車を何万台か集めて貸し出したらどうか。車を失った被災者には直接関係のない「東北自動車道の無料化」よりもはるかに優先度が高い。
 当面の収入を得るための仕事が必要となる。仮設住宅の建設やがれきの処理だけでは限界がある。避難所での炊事、洗濯、掃除など軽作業もすべて公的な仕事として、お金を支払ったらどうか。被災者が働くことを通じて収入を得る喜びを早く創り出す必要がある。

 復旧がここまで遅れている大きな原因は、被災市町村の行政機能が低下していることにある。市町村職員も被災し、命を失ったり避難生活をしている。市町村側も自前主義はやめて、職員は被災者対応に集中させ、それ以外の事務はすべて県に代行させるなど大胆な選択と集中があってもよい。
   
 最後に、政府が早急に取り組むべき課題をいくつか述べたい。
 被災地の土地の権利調整ついて、国が解決策を示す必要がある。個人の財産権と公共目的による利用を調和させる政策が求められる。例えば、特別な賃借権を設定して市町村が被災地の土地を借り上げる万法が考えられる。
 第2次補正予算案の編成も急ぐべきだ。被災地では1次産業への依存度が高い。漁期
との関係で水産施設の建設は秋まで待てない。住宅や設備投資など既存の融賢の返済に加え、新たなローンを抱えることになる「二重ローン問題」に対処するための予算も早く確保する必要がある。
■タグ 日経 経済教室 コラム 増田寛也 危機対応 がれき処理 仮設住宅 自動車 仕事 行政機能 権利調整 補正予算 二重ローン
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