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【現論】復興と国の支援 増田寛也 【識者評論】大震災と地域 神尾文彦/日本経済と再生力 ア...
■題 名 | 【現論】復興と国の支援 増田寛也 【識者評論】大震災と地域 神尾文彦/日本経済と再生力 アンヘル・グリア | ||
■日 付 | 1899年12月31日 | ■大分類 | 新聞等(岩手日報) |
■概要 | ◇現論 復興と国の支援 被災者の命最優先に 増田 寛也(東京大客員教授) 東北地方の人々は過去、津波や冷害を幾度となく体験し、耐えることや助け合うことの大切さをよく知っている。「自助、共助、公助」といわれるが、「公助」すなわち国がどこまで支援するのか、その内容と限界が問われる。 鳩山由紀夫前首相は「命を守りたい」と高らかに宣言した。菅直人首相は、被災地の復興の姿として「山を削って高台に住む」「高台から港に通勤」「自然に優しいエコの街を創る」と繰り返している。もちろんこれは、望ましい姿を述べたのであって、無理やり国が上から地元に押し付けるものではないと思う。 こうした街づくりのアイデアは、地元の人々が自治体と議論を績み重ねた上で作るべきものである。その前に菅首相は、高台移住が望ましいと考えるのであれば、人々が高台に移りやすいような土地制度の枠組みを作ることが必要ではないか。 例えば、国や自治体が低地の土地を買い上げてもよいし、特別立法によって長期間、法定借地権を設定してもよい。いずれにせよ、国が従来の公助の考え方を大きく前進 させる必要がある。今は国の支援の内容を決めるところが重要である。そこが決まれば、それから先は自助や共助の力で地元でやり抜くしかない。 ◇識者評論 大震災と地域 自立性高める再生を 神尾文彦(NRI公共経営研究室長) 大震災前の被災地は、関東圏を中心に全国へさまざまな物を「供給する地域」だった。しかし戦略を決める「司令塔」は、東京や名古屋などにある本社で、地域が自立していたとは言い難い。新しい東北は、地域の自発的な創意工夫や、知恵が生かせるよう自立性を高めるべきだ。 例えば食品の提供では国内だけでなく、海外の直接取引比率を高め、自分で外貨を稼ぎたい。海外への直接輸出に耐え得るよう港の機能を強化する。並行して関連の加工産業や卸など流通業、金融・サービス業を含む高品質の生産基盤基地も育成するのが望ましい。 そのために政府や自治体の復興資金だけでなく、民間の資金・ノウハウを積極的に取り込むべきだ。PPPなども先駆的に実施。農漁業を6次産業化し、ネットワーク化や大規模化を視野に入れる。 エネルギー分野で国に先駆ける試みを導入してはどうか。洋上風力発電、火山活動を利用した地熱発電、バイオ発電など、分散型の試みを行う上で東北は豊かな潜在資源に恵まれている。 ◇識者評論 日本経済と再生力 長期低迷は起こらず アンヘル・グリア(OECD事務総長) 大震災は、日本経済がまさに軌道に戻りかけ、信頼が回復しようというタイミングで起きた。日本にとって戦後最悪の災害だ。回復の時期は予測が難しい。しかし、日本経済の再生力からすると、震災による日本経済への影響は限定的で対処可能だ。長期にわたる経済の低迷は起こりそうにない。 短期的には、復興のための公的支出が増加するが、歳出の組み替え、連帯を基盤とする増税などで対応することが考えられる。ただし、そこには後ろ盾となる中長期的な財政健全化計画の存在が鍵となる。復興債の支出による中長期的な財政への影響をコントロールしなくてはならない。 財政の問題以外にも、震災前から抱えている構造的な問題の解決も優先度が高い。日本は質の高い労働力が強みである。その質を維持するためにも、乳幼児期から大学など高等教育に至るまでの改革が重要だ。 |
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