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復興会議決定 復興は基幹税増税で 津波に「減災」提唱/復興実現財源が課題/被災自治体評価と...

■題 名 復興会議決定 復興は基幹税増税で 津波に「減災」提唱/復興実現財源が課題/被災自治体評価と批判
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(読売)
■概要 . 復興構想会議は25日、「復興への提言?悲惨のなかの希望?」を首相に答申した。
 復興の財源確保のため、法人税、所得税、消費税の「基幹税」を中心とした臨時増税の検討を求めた。漁業の再生などのため、区域と期間を限定して規制緩和や経済支援を行う「特区」の活用を提案した。政府は提言をもとに復興基本方針を7月末までに策定し、2011年度第3次補正予算案や12年度当初予算案の概算要求などに反映させる考えだ。
(「復興への提言」骨子)
 ▽巨大津波の被害を最小化する「減災」の考え方が重要。防波堤、道路や鉄道線路の盛り土構造、高台移転などを「面」で整備
 ▽市町村が復興の主体。区域・期間を限定して「特区」手法を活用
 ▽復興財源は次世代に負担を先送りせず、臨時増税措置として基幹税を中心に多角的に検討
 ▽原発事故の収束は国の責任。福島県への再生可能エネルギーの研究拠点設置や関連産業集積を支援

◇特別編集委員 橋本五郎 「仁王立ち」の政治見せよ
 「復興への提言」は、数百年に一度かもしれない未曽有の事態に遭遇し、複合大災害の真の意味を問い、「希望」ある復興の姿を示そうとしたものである。被災者への「希望」のメッセージであると同時に、日本全体の復興・再生の処方籐を示そうとしたことも理解していただけよう。
 復興の財源については、次の世代に負担を先送りしないとともに、増税に触れずして復興案を示すのは責任ある態度ではないという私だちなりの覚悟も明確にしている。
 問題は、政治がこれからどう実行、実現していくかである。現在進行している政治の現実があまりに矮小であるがゆえに、その懸念は限りなく大きい。被災者は一日一刻も早い救いの手を待っている。被災地や周辺に位置する企業の海外移転はもう始まっている。早く手を打たなければ、産業の空洞化は深刻になるだろう。その危機感があれば、政争に費やしてはいられまい。本格的な復興予算を審議する国会を仙台で開くべきである。私は繰り返し主張している。被災地の思いを全身で受け止めながら審議することが必要だからだ。仁王立ちになって、国民を守ろうとしている姿勢を与野党とも見せてほしいのである。

◇復興実現 財源が課題
(基幹税)
 提言は「財源の議論なくして復興は語れないし、復興の姿なくして財源の議論も語れない」とし、負担を今生きている世代全体で分かち合うという基本姿勢を示した。
 財源を巡っては、五百旗頭真議長が4月14日の初会合で「震災復興税」の創設を検討する考えを表明し議論を主導した。しかし、会議では「財源なき復興は絵空事だ」と訴える委員の一方で、「震災で経済が弱った時の増税はおかしい」とする委員もいた。
 対立は提言とりまとめの直前まで続き、結局、具体的な税目や臨時増税の期間を明記しないことで折り合った。
(減災)
 巨大津波に襲われた経験を踏まえて示したのが、海岸平野部やリアス式海岸の地域など、被災地を地形などに応じて5種類に分類した復興指針だ。津波が防潮堤を越えることを視野に入れ、高台への住宅移転と海沿いの水産業施設整備を組み合わせる「職住分離」など、被災前の姿にとらわれない復興の青写真を描いたのが特徴だ。
 「減災」を進めるため、被災地での土地利用や建築の規制見直しを一体的に行うよう求めた。実現すれば、被災前の宅地と農地の線引きをいったん白紙に戻し、津波発生時に危険な海岸沿いは企業や農地を配置、内陸部や高台に住宅を集団移転させることも可能になる。
(特区)
 宮城県知事の村井嘉浩委員は漁業権免許の取得で漁協が民間企業より優先される仕組みを見直す特区の創設を4月から主張してきたが、11日に御厨貴議長代理が示した提言の骨子案には「特区的手法」という言葉が入っただけだった。
 「特区的」には特区そのものではないという意味が込められていた。しかし、村井氏は11日の会議で、宮城県の漁業従事者の高齢化や減少を強調する資料を配布し、特区の必要性を改めて訴えた。その結果、「特区的」は「特区」に改められ、漁業権に関する特区も盛り込まれた。
(原子力災害)
 首相は「あまりにも大きな問題だ」として諮問対象から外す意向だったが、「福島抜きの復興はありえない」と委員側が巻き返した。ただ、委員にも、どこまで取り上げるか、共通認識があったわけではない。
 骨子案は総論で触れただけだった。しかし、震災後3か月が過ぎて復旧から復興に力点が移りつつある岩手、宮城両県に比べ、福島県は原状回復の見通しすら立たない状態が続いている。こうした現状に委員の間では、「福島県民が『見捨てられた』と感じるような提言にすべきではない」という意見が強まり、最終案の段階で独立した章に「格上げ」されることになった。

◇被災自治体、評価と批判
 岩手県大船渡市の戸田公明市長は「内容的にはコンパクトにまとまり、的確」とし、「政府は政策実行ヘスピードアップを」と注文をつけた。
 陸前高田市の戸羽太市長は「早く区画整理をやりたい。そのためには、国が買い上げてくれるのは海抜何メートル地点までかなどを示す必要がある」と一層の具体策を求めた。
 宮城県南三陸町の佐藤仁町長は、土地利用手続きの簡素化が盛り込まれたことを「事務簡素化で復興スピードが増す」と評価。同町は高台の遊休農地を宅地にするなど移転を進める方針だ。
 広範囲な地盤沈下に悩む岩沼市の井口経明市長は「国土保全は市町村ではできない。国が研究機関の知見を生かして進めるよう踏み込んだ議論がほしかった」。
 宮城県漁業協同組合は25日、幹部が記者会見し「企業は採算が合わないと撤退する」「浜に混乱と内部対立を引き起こす。あらゆる手段で抗議する」と訴え、石巻市の亀山紘市長も「民間が漁港整備までするなら歓迎するが、特区まで必要ない」と批判した。
 一方、気仙沼市の菅原茂市長は「漁業の復興に民間の力も利用すべきだ」と提言を評価した。
 原発事故で計画的避難区域となった福島県飯舘村では、約220戸あった畜産農家の多くが廃業するか廃業の危機にある。菅野典雄村長は、土壌汚染対応の明記を評価しつつ、「残った畜産農家が村に戻った時、安全な牧草を牛に食べさせられるように早急に着手してほしい」と注文した。

◇増税「4つの論議」同時に 消費税上げ避けられず
 復興構想会議は、25日にまとめた提言で、復興の財源として所得税、消費税、法人税の基幹税を臨時増税する方針を打ち出した。一方、消費税率の引き上げを柱とする政府・与党の社会保障と税の一体改革の議論は大詰めを迎え、B型肝炎訴訟の和解金を賄うための増税も検討している。これに今国会に提出した税制改正関連法案のうち、手つかずになっている所得税や相続税などの増税を加えた「四つの増税論議」について、政府は同時並行での対応を迫られる。

◇被災者「現場細かく見て」 復興提言「新エネルギーに期待」

◇復興構想会議提言要旨
 <前文>
 <本論>
  1.新しい地域のかたち
  2.くらしとしごとの再生
  3.原子力災害からの復興に向けて
  4.開かれた復興
 <結び>

◇被災3県知事の評価
(力強い後ろ盾を得た 岩手・達増知事)
 提言には、県が訴え続けてきたことの多くが反映された。配慮をありがたく思っている。具体的には、復興道路の整備を重点的に進めるべきだとの記述や、水産業の再生、二重債務問題に対する支援、まちづくり、財政上の措置が、それぞれ岩手県の主張に応じて盛り込まれた。復興特区制度についても国の支援などが明記されている。岩手県としても早急な実現に向け、政府への要請など引き続き努力していきたいと考えている。

(漁業特区早期実現を 宮城・村井知事)
 満足のいく提言になった。合格点をつけられる。政府がしっかり受け止め、形あるものにすれば、被災地は必ず素晴らしい復興を成し遂げられるはずだ。提言が「絵に描いた餅」で終わるかどうかは、菅首相のリーダーシップにかかっている。

(土壌除染国の責任で 福島・佐藤知事)
 東京電力福島第一原子力発電所事故に対し、復興構想会議の参加者全員に、将来のエネルギーも含めた議論をしてもらった。福島県は他県と違い、地震、津波に加え原発事故があった。提言には、福島で自然エネルギー拠点の整備や医療産業の集積を行い、原子力災害に絞った復興再生のための協議の場を設けるなど、意気込みを示す計画が盛り込まれた。私たちが申し上げた要望や意見がおおよそ認められており、評価したい。
政府は、地域再生と(原発事故)賠償に必要な法整備を進めてほしい。
■タグ 読売 東日本大震災復興構想会議 第1次提言 復興への提言 菅直人 首相
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