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被災地首長評価二分/再生エネ促進に期待/特区に反対宮城県漁協「浜の将来に禍根」/復興構想会...

■題 名 被災地首長評価二分/再生エネ促進に期待/特区に反対宮城県漁協「浜の将来に禍根」/復興構想会議提言「希望」への道のり遠く
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(河北新報)
■概要 . 復興構想会議が提言を決定した25日、岩手、宮城両県の被災市町で復興の指揮を執る首長の見方は分かれた。「的確な指針」という評価と「現場軽視だ」という批判が入り交じる。
 戸田公明大船渡市長は「まちづくりに指針を与える提言内容だ」と好意的に受け止めた。水産業復興特区が提言に盛り込まれたことに、「漁業は後継者難で存続が危ぶまれている。持続的漁業の構築に大きぐ寄与する」と評価した。
 反対に亀山紘石巻市長は水産業特区について「市では震災前から企業努力による活性化が進んでおり、特区にこだわる必要はない」と懐疑的な見方。漁港の集約化については「漁民でなければ浜は守れないが、一定程度の整備は必要かもしれない」と述べた。
 「被災地の現場を知らない方々がプランを練った感じだ」と辛口の反応を示したのは、佐々木一十郎名取市長。対応が遅い政府への反発をにじませ、「国は財源と規制緩和で自治体を支えることに徹し、地域の個性をつぶさないでほしい」と語った。
 宮城県南三陸町の佐藤仁町長は「財源を示したことは評価に値する。被災地の首長としては苦しい立場だが、財源を明示せずに計画は立てられない」と話した。
 亀山石巻市長は「問題は具現化できるかどうか。提言が絵に描いた餅になっては意味がない」と指摘。佐藤南三陸町長は「これからは政府の実行力が間われる」と強調した。

◇原発周辺の南相馬市 再生エネ促進に期待
 桜井勝延南相馬市長は「復興特区の創設や再生エネルギーの促進は、南相馬の目指す方向と一致している」と評価した。福島県内に医療の研究拠点などを整備するという提言丙容について、遠藤雄幸川内村長は「今後(放射線の影響について)住民の健康調査が行われていくので、歓迎したい」と期待を込めた。

◇特区に反対 宮城県漁協「浜の将来に禍根」
 宮城県漁協の木村稔会長らは石巻市の漁協本所で記者会見し「沿岸漁業の復興にプラスにならず、浜の将来に禍根を残す」と反対運動を続ける姿勢を重ねて示した。木村会長らは「企業が漁業権を取得すれば漁場の一元管理体制が崩れ、持続的な生産体制が維持できなくなる」と主張。県が漁協側との協議を経ずに提案したことについて「手続き上も大変簡題がある」と批判した。

◇復興構想会議提言 「希望」への道のり遠く 政権混迷実現性に疑問 増税堅持財務省が執念
 復興構想会議は25日の提言で、被災地復興への施策と同時に、財源として復興増税を苔り込む当初方針を堅持した。『負担の連帯』を求める提言の裏で動いたのが、借金膨張阻止に執念を燃やす財務省だ。しかし菅直人首相は退陣時期をめぐる迷走で求心力が低下。復興策を具体化する政府の足取りは重く、提言が掲げた「悲惨のなかの希望」への道のりは遠い。

◇優先順位付け実行を 東北大准教授 河村和徳
 今後、提言を、復旧・復興を進める起爆剤にするためには、二つの乗り越えなければならないハードルがある。
 一つは、限られた財源をいかに政治主導で効果的に使うかである。提言は多岐にわたり、すべてを実施するのは恐らく難しいだろう。復興財源による増税も提言されているが、それでも足りないのではないかと思う。不要不急のものも多く、復旧・復興にかこつけたとしか思えないものも含まれている。政治は、内容を吟味し優先順位を付けることが求められる。
 もう一つは、マンパワーをどう確保するかである。提言では、市町村に復興の主たる担いチとなることが求められているが、被災自治体の多くは公務員も被災し、マンパワーが著しく欠けている状況にある。国がいろいろなメニューを提示しても、自治体がそれに応える余裕はないように思われる。
 筆者は宮城県の「新しい公共支援事業」運営員をしているが、その会議でも、被災自治体は書類申請にさえ手が回らない可能性が議論された。さまざまな復旧・復興メニューができること自体はいいが、申請できる環境についても政治は検討する義務を負うことになる。

◇大切な「迅速さ」欠落 京都大教授 藤井 聡
 復興構想会議の「復興への提言」については、以下の3点において、大多数の国民の願いからも、そして、被災者の思いからも大きく乖離しているのではないか。
 第一に、多くの国民は、復興の迅速さの不在に大きないら立ちを覚えている。この提言の中には、復旧・復興を急がねば手遅れになるという焦燥感が希薄だ。今、被災地では「住み惜れた街を離れると決めた人」「自分の生業を廃業しようと決めた人」が、一日一日と増え続けている。そういう人々が増えれば増えるほどに、被災地復興の「潜在的な力」はそがれていっている。「大けがの治療」は「迅速さ」こそが命であるように、「大震災の復興」もまた「速さ」こそが「何よりも」重視されるぺきなのだ。
 第二に、東日本の地の復興ビジョンとして「ふるさとの再生」というイメージをおぼろげに持っている国民は多かろうと思う。エコタウンやイノベーションといった言葉に、ある種の違和感があるのではないか。そして何より、被災者の多くがそんな「創造的なコンセプト」を望んではいないだろう。被災者はむしろ「もしもかなうのなら、3月11日までのあの平穏な暮らしに--仮にそれがエコでも革新的でなかったとしても--戻りたい」という、かなわぬかもしれない「思い」を深く抱いていることだろう。そうである以上、復興事業は「創造的」である以前に、そうした被災者の「思い」に全力で応えんとすることこそが「基本」であるぺきだ。部外者の専門家が提言する創造性は、そうした「基本」に対する付け足し以上のものではない。
 第三に、提言の中では「次の世代に負担を先送りしない」とうたわれ、復興財源のための増税が盛り込まれている。家族や同胞が大けがをした時に「うちの家計はこうだから」と考えるような家長は家族を見殺しにしかねない冷徹な人物だ。そんな時は「オカネのことは俺が責任を取る。とにかく、全力で治療をしてくれ」と頼むのが家族を愛する家長の姿だ。仮にその借金が次世代に残ろうとも、その次世代が「生き残る」ことこそが優先されるべきだ。
 もしも同胞意識が強くあったなら、「生業の復活」を中心とした「ふるさと再生」を、大規模財源と圧倒的迅速さの下で復旧・復興を進めるべしという復興構想を、それこそ政治主導の下、例えば3月中下旬の時点でまとめることすら可能であっただろう。そして、会議に諮問すべきは構想などではなく、それを実現するための「具体的諸事項」であったはずなのである。
■タグ 河北新報 東日本大震災復興構想会議 第1次提言 復興への提言 河村和徳 藤井聡
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