国土に関する常識クイズ |
<総合目次> |
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日本の国土 |
国土の大きさ |
海と日本 |
雨や雪 |
日本の人口 |
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山や森林 |
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短くて急な川 |
自然災害の被害 |
水害や土砂災害 |
台風の進路 日本 |
地震国 日本 |
火山国 日本 |
海に囲まれている国、日本
日本は四方八方を海に囲まれた島国です。日本人は古代より船で外国と行き来したり、物を運んだり、魚や貝などをとって食べる、塩をつくるなど、海のめぐみを大きくうけてきました。7月の第3月曜日は「海の日」ですが、海に関する記念日を祝日にしたのは世界でもめずらしいことです。私たちのくらしと海について、もっと考えてみましょう。日本の国土と海とのかかわりについて、発見があるかもしれませんよ。
■世界の「海の憲法」で海は4つに分けられている
ふつう、「国土」と言ったときには陸地をイメージしますね。私たちは、北海道、本州、四国、九州の4つの大きな島を中心とした陸地に住んでいます。この日本の陸地にいる限り、日本人も外国人も日本の法律を守らなければなりません。
日本の周りの海でも、漁業をしたり、海底にある資源をとったり、船が航行しています。このため、海であっても、日本人も外国人も日本の法律を守らなければならない海域(海の範囲)、日本が支配することができる海域などがあります。
世界の「海の憲法」とも呼ばれる「国連海洋法条約」では、世界の海を大きく、「公海」「領海」「接続海域」「排他的経済水域」の4つに分けています。
- 「公海」とは、世界のどの国の船も自由に航行することができる海域です。公海は、どこの国のものでもありません。
- 「領海」とは、領土と同じように日本の海です。外国船が日本の領海を航行するときには、日本の法律を守らなければなりません。基準となる海岸線(基線)から海側へ12海里(約22km)までが領海の範囲です。
- 「接続海域」とは、密輸や不法入国を防止するなどのために、日本がいろいろな規制を定めることができる海域です。基準となる海岸線(基線)から海側へ24海里(約44km)までが接続海域の範囲です。
- 「排他的経済水域」とは、魚などの水産資源や石油やガス、鉱物などの資源を日本の支配下におくことができる海域です。外国船が日本の許可なく勝手に漁をしたり、海底に資源がないか調査したり、資源を採っていくことなどはできません。基準となる海岸線(基線)から海側へ200海里(約370km)までの海域(領海を除く)とその海底、およびその地下です。「EEZ」とローマ字で省略して書くことがあります。
なお、海里とは、主に航海や航空で使う距離の単位です。赤道の長さ(約4万km)から計算された単位で、1海里=1852メートルです。
■日本の権利がおよぶ海域の面積は世界第6位
日本の国土は陸地だけではありません。海もまた日本の国土の大きさを決めるために重要な役割を果たしています。それは、日本にいろいろな権利が国際的に認められている、「領海」「接続海域」「排他的経済水域」の3つの海域です。
日本の領海や排他的経済水域の面積は約447万平方kmあり、なんと世界第6位。その大きさは日本の国土の約12倍の広さなのです。
日本は小さな島国だと思っていませんでしたか。たしかに世界地図を見ると、ユーラシア大陸の端にある島国で、小さい国に見えます。陸地の国土の面積は約38万平方kmで、世界第60位の大きさですが、日本列島の島々の海岸線から始まる日本の海域は世界有数の広さなのです。
¶豆知識 − 津軽海峡などの国際海峡では外国船が通るので領海を小さくしている
下の地図を見てください。日本列島をわざと逆さまにすると、東アジアの国々から見た日本列島と太平洋という見方ができます。ロシア沿海州地方、韓国、中国の重要な港から、東南アジアや北アメリカに向けて太平洋に出るためには、必ず日本付近の海峡を通過しなければなりません。世界の「海の憲法」とも呼ばれる「国連海洋法条約」では、このように国際航行に使われている海峡を「国際海峡」と呼んでいます。
「領海法」という日本の法律では、日本の領海の範囲は基準となる海岸線から12海里(約22km)までと決めています。これは、「国連海洋法条約」で認められている範囲と同じです。しかし、津軽海峡では、もっともせまいところで幅が約19kmしかないで、日本が12海里(約22km)の領海をとってしまうと、津軽海峡が領海でふさがれてしまいます。そうなると、外国船などが津軽海峡を自由に航行するのに問題が起こるかもしれません。そこで、津軽海峡では領海を3海里(約5.5km)だけにして、海峡の真ん中に外国船などが自由に航行できる公海をつくっています。
このように、日本の「領海法」では、次の5つの国際海峡で領海の範囲を小さくして、外国船などが海峡を自由に航行できるようにしています。
- 宗谷海峡……樺太(サハリン)と北海道の間の、日本海とオホーツク海を結ぶ海峡。
- 津軽海峡……本州と北海道の間の、日本海と太平洋を結ぶ海峡。
- 対馬海峡東水道……対馬海峡のうち、本州と対馬の間の、日本海と東シナ海を結ぶ海峡
- 対馬海峡西水道……対馬海峡のうち、韓国と対馬の間の、日本海と東シナ海を結ぶ海峡
- 大隅海峡……九州と種子島・屋久島の間の、太平洋と東シナ海を結ぶ海峡。
■国土の最南端 沖ノ鳥島を守ること
せまいと思っていた日本ですが、国連海洋法条約にしたがって日本に権利が与えられている海域までふくめると、実はとても広い範囲となるのです。この広大な海域の中心となっている島の1つに、日本の最南端の島、沖ノ鳥島があります。
沖ノ鳥島は、周囲わずか11kmのサンゴ礁の上に、満潮時には高さ、幅とも数m程度の2つの小島が海面上に顔をだすだけの小さな島です。ところが、この2島があるおかげで、半径200海里(約370km)、日本の国土面積よりも大きい約43万平方kmもの大きさの排他的経済水域の円ができあがります。
排他的経済水域は、魚などの水産資源や石油やガス、鉱物などの資源を日本の支配下におくことができる海域です。外国船が日本の許可なく勝手に漁をしたり、海底に資源がないか調査したり、資源を採っていくことなどはできません。このように日本人の利益にとって大変に重要な島なのです。
この島では、いま大変な問題が起こっています。実は、第二次世界大戦前の調査ではサンゴ礁のなかに6島があったそうですが、自然の風化や波に浸食されるなどして島が砕けてなくなってしまい、現在では2島しか残っていないのです。もし、この2島の風化や浸食がさらに進んだり、地球
そこで、日本政府は2島の周りに消波ブロックを置いたり、島の周りをコンクリートで固めるなどして、島を保護しています。写真を見てもわかるように、沖ノ鳥島は、「島」と言うにはあまりに小さいので、外国のなかには、国際条約で定めている「島」ではなく「岩」だという意見を言う国もあります。しかし、日本の国土の大きさを決める重要な島であり、沖ノ鳥島をどうやって守っていくかきちんと考えていかなければならない重要な問題なのです。
■海にも外国との境界がある
外国との境界は、陸上の国境線だけではありません。海にも外国との境界線があります。日本も海で隣接する国々と海の境界線をもっています。それはどういうことでしょうか。答えは、排他的経済水域の境界線です。
もし、海をはさんだ2つの国との距離が400海里なかった場合にはどうなるでしょうか。下の左の図を見てください。それぞれの国が海岸線から200海里ずつの範囲をとると、重なる海域ができてしまいます。こうしたときは、2国が話し合って境界線を決めます。例えば、重なる範囲に中間線を引いて、それを排他的経済水域の境界線にしましょうと決めたりします。
しかし、重なる海域が、とても良い漁場であったり、海底地下に石油や天然ガス、鉱物などの資源がある場合には、単純に中間線をとると、資源を分け合うのに不平等になるかもしれないので、中間線が絶対に正しいわけではないということも国際的な常識になっていて、境界線を決める話し合いの問題点になっています。
さて、日本では、日本海や東シナ海で、韓国や中国と400海里も離れていない海域があります。日本の法律では、外国と話し合うときには日本は中間線を主張すると決めていますが、重なっている海域がとてもよい漁場であることや、東シナ海では天然ガスが地下にあるのではないかと言われています。日本も中国も韓国も、その海域で漁業をしたいので、難しい話し合いを続けています。
それに加えて、韓国は島根県の竹島を、中国は沖縄県の尖閣諸島、ロシアも北海道の北方領土を自分の領土だと主張していています。下の右の図を見てください。それぞれの国が島を自分の領土だと主張して、その島から200海里の境界線を引くので、日本と韓国や中国、ロシアとは意見が全然ちがっています。
このほか、日本の最南端である沖ノ鳥島では、沖ノ鳥島があまりに小さいので、国際条約で定めている「島」ではなく「岩」だと主張している国があります。沖ノ鳥島は日本の領土だとは認めるけれども、「島」ではなく「岩」だから、日本が沖ノ鳥島を中心に200海里の排他的経済水域をとるのはおかしいと主張している国もあります。
このような海の境界線をめぐる国どうしの考え方のちがいは、日本だけではありません。世界各地の海で起こっています。
■日本の海岸線の長さは世界第6位
国土交通省の「海岸統計」によると、日本の海岸線の長さは約35,558kmです。地球の一周が約4万kmですから、地球一周の8割以上の長さということになります。
江戸時代、伊能忠敬は日本の海岸線を歩いて測量を行い、日本地図を作り上げましたが、その完成までには16年かかりました。
それでは、世界と比べて見ましょう。アメリカ政府の調査によると、世界の海岸線の長さは35万6000kmです。そのなかで日本の海岸線は2万9751kmであり、これは世界第6位の長さです。世界地図では小さい国に見える日本ですが、とても複雑な形をした海岸線をもっていて、それが世界第6位の長さであるというのはおどろきですね。
¶豆知識 − 複雑な地形だと、地図の縮尺がちがうと長さがちがってしまう
同じ日本の海岸線の長さなのに、日本の調査では35,558km、アメリカの調査結果では29,751kmと大変なちがいがありますね。なぜこんなにちがうのでしょうか。その理由は、日本の海岸線の形が複雑だからです。
下の2つの地図を見てください。左の縮尺の大きい地図では、海岸線の細かい地形まで書いてあります。右の縮尺の小さい地図では、海岸線の細かい地形は省略されて書かれています。拡大してくわしく調べるほど、海岸線の細かい地形も測ることができるので、その分だけ海岸線の長さが長くなってしまうのです。(これを、むずかしい数学用語では「フラクタル」といいます。)
したがって、日本の国土交通省の方がくわしく調べたということになりますが、外国と比べる時には、同じ方法で求めた長さで比べないと正しい比較になりません。そこで、アメリカの調査結果を使ったのです。
■海岸線を守ることは国土を守ることにつながる
日本は長い海岸線をもち、日本人は古代より船で物を運んだり、魚や海をとって食べるなど、海のめぐみを大きく受けてきました。しかし、ときには
日本では、毎年平均して10回前後の台風が襲ってきます。台風の低い気圧や強い風がふくために、ふだんよりも海面が上昇して、高い波が海岸に押し寄せることを「高潮」と言います。高潮によって波が堤防をこえて、陸地に海水が
また、最近は、波の侵食によって、年間160ヘクタールもの砂浜が失われているという調査結果もあります。
このままにしておくと貴重な国土が失われることになるので、海岸の保全は重要です。