国土に関する常識クイズ |
<総合目次> |
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台風の進路 日本 |
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台風の進路にある日本
台風は毎年、夏や秋にかけて日本にやってきます。そして、大雨や土砂災害、高潮などの災害をおよぼすことがあります。日本に住んでいる以上、台風から逃れることはできません。
日本と台風について調べてみましょう。
■1年間に平均26.4個の台風が発生し、11.5個の台風が日本に接近する
1951年から2009年までの59年間で、年平均26.4個の台風が発生しました。発生個数は年によってばらつきがありますが、最も台風の発生が多かったのは1967年42年)の39個、最も台風の発生が少なかったのは1998年(平成10年)の16個です。
気象庁によると、台風が日本に上陸したかどうかにかかわらず、台風の中心が日本のどこかの気象官署(気象台や測候所など)から300km以内に来ることを「接近」と言います。1951年から2009年までの59年間で、年平均11.5個の台風が日本に接近し、年平均2.9個が上陸しました。
なかでも2004年(平成16年)は、この59年間で最も多い19個の台風が日本に接近し、うち10個の台風が日本に上陸しました。
¶豆知識 − 世界の地域によって呼び方がちがう台風
私たちが「台風」と呼んでいる熱帯低気圧は、世界の地域ごとにさまざまな呼び方をされています。
気象庁によると、熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と言いますが、このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西)、または南シナ海に存在し、かつ低気圧内の最大風速(10分間平均)が秒速17.2m(=風力8)以上のものを「台風」と言います。
日本をふくむ北西太平洋・アジアでは「台風」または「タイフーン」。アメリカなどでは「ハリケーン」、その他の地域では「サイクロン」と呼ばれています。
■台風の進路上にある日本
台風は自分の力では移動できません。風にながされて移動するのです。
春の台風は北半球の低緯度地方で発生します。低緯度地方は、東から西へ風が吹いているので、台風は西に進んで、フィリピン方面に向かいます。
夏になると、台風が発生する緯度が高くなります。台風は、西へ流されながらしだいに北上しますが、日本などが位置する北半球の中緯度地方に来ると、上空では西から東へ強い風(偏西風)が吹いているので、台風は高気圧のまわりを回って、速い速度で日本の方向へ向かって来ます。
8月は1年間で最も多く台風が発生しますが、台風を流す上空の風が弱いために不安定な進路をとることが多いです。9月になると南から円をえがくように日本付近を通るようになります。このとき、秋雨前線と一緒になって大雨を降らせることがあります。
■台風は大雨や土砂災害、高潮の被害をもたらす
下の図は、1989年(平成元年)から2008年(平成20年)にかけての20年間に日本付近に接近または上陸し、大きな被害をもたらした58個の台風の進路です。
なかでも、ピンクの太い線は、2004(平成16)年10月の台風23号の進路です。2004年に日本に上陸した台風は、この台風23号が10個目で、1951年の統計開始以来、最多となりました。
台風23号は秋雨前線を刺激しながら北上し、高波、大雨、土砂崩れ、洪水など、広い範囲に被害をおよぼしました。台風と前線による降水量(2004年10月18日〜21日)は、四国地方や九州地方北部で500ミリをこえたほか、近畿地方北部や中部地方でも300ミリをこえ、広い範囲で大雨になりました。高波による堤防の決壊や土砂災害が発生し、死者95人、行方不明者3人、負傷者552人、住宅の被害は全壊893棟、半壊7,762棟、一部破損10,834棟になり、平成で最悪の被害でした。
¶豆知識 − 台風の大雨は強風、高波はどうして起こるのか
●台風の「危険半円」とは
台風は巨大な空気のうず巻きになっており、北半球では地球の自転の影響をうけて、反時計回りに中心(台風の目)に向かって風が吹きます。
したがって、北上する台風の右半円では、中心に吹きこむ風と台風の進行方向が重なるため、風がより強くなります。このため台風の右側は「危険半円」とも呼ばれています。
●台風が降らせる大雨
台風は強い風とともに大雨を降らせます。台風は積乱雲が集まったものですから、広い範囲に長時間にわたって雨を降らせます。
台風が日本にやってくる時期、日本では9月から10月にかけて秋雨前線が発生している時期です。
秋雨前線とは、夏の亜熱帯高気圧が弱くなって南へ下がり、代わりに北から張り出してきた寒帯高気圧との境で発生するものです。つまり、南からの暖かい空気と北からの冷たい空気が日本上空でぶつかって、そこで雲が発生して雨が降るということです。
台風の南から北へ向かって吹く暖かくて湿った風が、秋雨前線の活動を活発し、大雨を降らせるのです。
●台風による海面の上昇
台風による風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられて「吹き寄せ効果」と呼ばれる海面の上昇が起こります。
また、台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上がります。これを「吸い上げ効果」といいます。気圧が1ヘクトパスカル低くなると、海面は約1cm、気圧の力で上昇すると言われています。例えば、気圧が1,000ヘクトパスカルだったところへ中心気圧950ヘクトパスカルの台風が来ると、台風の中心付近では海面が気圧の力で持ち上げられて、1,000ヘクトパスカルだった時と比べて約50cm高くなるということです。
強風によって波が高くなる「吹き寄せ効果」と気圧が低くなることによる海面の上昇。この2つの効果が重なって、高波が海岸に打ち寄せる「高潮」が発生するのです。